検索窓
今日:6 hit、昨日:0 hit、合計:4,625 hit

ページ3

「えっと、僕、折原千歳といいます」

「え?・・・あ、私は蒼野Aです」



唐突な自己紹介に、思わず私も名乗ってしまった。

困惑していると



「連絡先交換しませんか?」



と、男性は提案してきた。

私はよくわからずぽかーんと呆けてしまった。



「えーっと、大丈夫ですか?」



男性・・・折原さんが顔を覗き込んでくる。



「な、なんで連絡先交換するんですか?」

「これから通院しはるんでしょ?そしたら治療費かかるやないですか。それをお支払いしなあかんし・・・」



えっ?治療費払う気でいるの?

なんで?



「えっと、・・・折原さん?がなんで私の治療費を払うんですか?請求する気もないですが、もし支払うとしたぶつかった子ですよね?」



前を見ていなかった私も良くなかったし、なんて思いながら折原さんを見る。



「あー、まぁ、そうやねんけど・・・」



言いにくそうに口ごもる。

なんとなく言いたいことはわかるけど、でもそんなことまで背負うことないのになぁ、と思いながら見つめ続けると、折原さんはやっと口を開いた。



「たぶん、あの子が走ってきたんも周り見ずに蒼野さんにぶつかったんも、原因は僕やと思いますから・・・」



推しが目の前にいたら興奮して周り見えなくなっちゃう人もいるよなー。

だからって逃げるのはよくないと思うけど。



「折原さんが原因だったとしても、やっぱり支払うとしたらあの子ですよね?折原さんが気に病む必要はないと思いますよ?ここまで付き添って頂いただけで十分です」



そう言って支払いをやんわり断ったんだけど、折原さんは「そうや!」と目を輝かせる。



「僕の中で支払わんっていう選択肢は無いんで、連絡先交換して通院のたびにやなくても後でまとめて請求してくれはるか、今少し多めに現金で慰謝料として渡すかどっちがええです?」



さも名案!と言わんばかりに私を見る。



「ちなみに渡そうとしている慰謝料はいくらほどで・・・?」



一応聞いてみると、



「んー、50万とか?」



と首をかしげる。

いや!多いだろう!!とびっくりする。

*→←治療費



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (7 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
29人がお気に入り
設定タグ:歌い手 , 浦島坂田船 , センラ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:蒼野真白 | 作成日時:2020年4月13日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。