治療費 ページ2
救急車が来たので男性にお礼を言うと、「病院まで付き添います」と言われた。
そこまでしてもらうのは申し訳ないので断ろうとしたんだけど、救急隊の方たちから早く、みたいな空気を感じたので黙った。
私としても全身がとても痛いので早く病院に行きたかったのもある。
病院に到着して私は処置室にそのまま運び込まれ、レントゲンやらCTやら撮り、頭にはなにも異常がなさそうなのを確認してもらった。
そして処置をしてもらい、今日はとりあえず帰ってもいいと言われたので待合室の方へ行く。
会計も済ませ入口のほうへ向かうと、一緒に救急車に乗ってきた男性が駆け寄ってきた。
「どうでした?」
すごく心配そうにそう聞かれる。
というか、待っててくれたんだ。
今もう19時だよ。外も暗くなってる。
たぶんなんだかんだ検査もあったから3時間くらい待たせていたと思う。
「待っていてくださったんですか?」
聞かれたことに答えず、思わずそう聞いてしまった。
「やって、目の前であんなんなって、気にならんほうが無理でしょ」
と困ったように笑う。
「それで、どうでした?」
もう一度同じことを聞かれる。
頭に包帯巻いて右手はギプスをはめて固定している状態を見て、なんともなかったなんて嘘はつけなかった。
「・・・えっと、右手首の骨折と頭の包帯は擦り傷が少しあったので一応な感じです。CTとかも撮りましたけど脳は大丈夫とのことです」
体中が打撲でたぶん明日になったら痣とかひどくなるかもと言われたことは黙っておく。
「そっか・・・」と一応安心したように息を吐く男性。
「もう帰れるんですか?」
「はい。脳にも異常ないですし、とりあえず帰っていいそうです。何度か通院はしないといけないみたいですけど」
そう答えると男性は何かを考えているようだった。
29人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:蒼野真白 | 作成日時:2020年4月13日 10時