Smoke and Mirrors 【Kazuma.K】 (ページ3)

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Makoto side

『はー……』

熱が冷めきらずにいる。

自身の記憶が正しければ､もしくはこれが夢でないのなら､俺たちは誰ひとり欠けることなく､全員でデビューを掴み取ることができたのだ。
下げていた視線を上げると､あたりは皆お祭り騒ぎだった｡
興奮したように飛び跳ねる者もいれば､家族に連絡する者もいる。今日ばかりは仕方ないか､とやけに落ち着いた気持ちでその様子を眺めていると､隣に誰かが座ってきた。

『壱馬さん』

壱「どうしたん､そんな顔して」

そんな顔とは。
そんな疑問を汲みとったように壱馬さんは
なんかまだやりきれてないような､そんな顔しとる､と俺に言った。
デビューが嬉しくないわけではないのだ､本当に。ずっと憧れ目指してきた場所であったし､何せこの16人でこれからも活動できるのだから。

ただひとつ､ひとつだけ､心残りがあるとするならそれは。

『……俺､幼馴染がいるんです』

壱「へえ､そうなんや。知らんかったな」

『いつかお互いの夢が叶うとき､1番近くで見届けようって､約束してたんですけど…』

果たせなかったな､と心の中で呟く。

あれは確か2年ほど前だったか。記憶の中でクシャリと笑う幼馴染を思い浮かべる。

＂まこちゃんがデビューするとき､1番近くで見てる！＂

＂じゃあ俺は＿＿＿＿＿＿＂

＂んふふ､約束ね！＂

その後すぐ､彼女は日本から遠く離れた異国､アメリカへと渡っていった。それ以来連絡もなく､会ってもいない。
そういえば俺はあのとき､彼女になんて言ったのだったか｡

壱「慎にとって大事な人やったんやな､その人」

『…まあ､そこそこには』

彼女は自分にとって､家族も同然だったのだから。

今はどこで何をしているのか＿＿と､思いを巡らせたときだった。

楽屋の扉が勢いよく開かれた。

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