Crazy love

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「あいつらのことは脅しておいたから。撮った写真も消させたし、何も心配することはないから」



私の涙を拭いながら、玉森先輩まで泣きそうな表情をするから、思わず玉森先輩の胸に顔を埋めてしまった。



「ごめん、A。もっと早く来れば良かった」



私の背中を撫でながら私に謝る玉森先輩。



「先輩が....助けてくれたんです、ね」

「助けるって....俺はただ保健室に運んだだけだよ」



そう言って、ここに来てくれた経緯を説明してくれた玉森先輩。

「たまたま、亜莉朱が図書室であいつらに頼んでるの聞いちゃってさ。
Aを脅せとか、怖がらせろとか、Aの名前が出てきたから、え？と思って。

でも場所が特定出来なくて、学校内探しまくってて。ごめん、それで時間かかっちゃって」



何も悪くないのに何度も謝る先輩に、涙が止まらなくなる。



「私なんかのこと....気にかけてくれて....」

「当然でしょ。知らない仲じゃないし。勉強教えて貰ってたし、亜莉朱も結構ヤバイ噂色々とある女だし、気になっちゃってね」



でも間に合わなくてごめん。

先輩の謝罪に、嗚咽を堪えながらブンブンと首を横に振る。



「玉森先輩が...ワイシャツ、貸してくれたんですね」

「ああ、ごめんね。汗臭いけど」

「いえ、有難うございます」



汚れたブラウスを脱がせてくれたのも、私の顔や身体を拭いたりしてくれたのも、全部玉森先輩なんだろうと思ったら、その優しさに自分のボロボロの心が救われていくのが分かった。

先輩が、来なかったら。

考えただけでゾッとした。



「色々と迷惑かけてすみませんでした」

「迷惑じゃないよ。落ち着いたら一緒に帰ろう、送って行くから」



正直まだ身体は震えていた。

誰かに頼るしかない自分が本当に情けなくて、何度も玉森先輩に「すみません」と頭を下げた。

背が高く、手足も長く、綺麗で美しい顔立ちの玉森先輩は、藤ヶ谷先輩同様、周りの人の目を惹き付ける。

アイドルは天職だと納得してしまう程。

そんな玉森先輩の隣を歩くのは物怖じしてしまい、少し後ろをついて行くようにすれば、突然振り返られ、ぐいっと引き寄せられる肩。



「せ、先輩っ？！」

「とりあえずその引っ詰め髪ゴム取って」



返事をする前に髪ゴムを取られて、ウェーブのかかった髪がふわりと広がった。



「それだけでも充分イケてるから。背筋伸ばして堂々としてて」



玉森先輩はそう言って、私の手をぎゅっと握りしめた。

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