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全速力で学校へ戻ると図書室へと駆け込み、部屋の1番奥の、窓際の自習スペースに座って息を整える。
周りが皆訝しがるほど、藤ヶ谷先輩の隣が似合わない自分。不釣り合いな自分。
理解っていたのにどうして誘いに乗ってしまったんだろう。
浮き足立った自分の行為を心底後悔した。
泣く資格なんかない。
それでも出てくる涙に余計自分に苛立った。
「あっれー、まじめちゃんじゃん」
その時、頭上から聞き覚えのある声。
「いいところにいた！！ちょっとさ隣の空き教室で勉強教えて。補講の宿題がさっぱり分かんないの」
ぐいっと強引に引っぱられる腕。
だけどそのせいで涙は引っ込んだ。
慌てて空いている腕で目を擦って、玉森先輩と共に図書室を出た。
＊
「ふーん、ん？時制のズレ？んーー？」
シャープペンをくるくると器用に指で回しながら、問題集を睨みつけている玉森先輩。
「主節が過去なら、従位節も過去になるっていうのが英語の大原則なんです。だからここが間違いです」
「ん？じゃあこの部分を過去形に直せばいいの？」
「そうです」
「ふむふむ、なるほど。じゃあ次の文はここが違うってこと？」
「そうです」
「おお！！頭良くなってきた気がするー！！」
顔をくしゃっとさせて嬉しそうに笑う先輩に、ドキンと胸が波打った。
こうして玉森先輩と一緒にいる自分だって、藤ヶ谷先輩と同じぐらい不釣り合いなのは理解っているけれど、それでも藤ヶ谷先輩といるよりもほっと出来てしまうのは、この柔らかな声と笑顔のせいだった。
そして、
「まじめちゃんの教え方、先生より全然わかりやすいわ」
必要とされている部分が、自分の中で唯一信じられる部分、「勉強」だったからかもしれない。
「また教えてよ。さすがにマジで留年かかってるから」
「私で良かったら...」
「んじゃLINE交換」
「あ、あのっ、私っ、携帯電話持ってなくてっ」
「ん？俺、遠回しに拒否られてる？」
「違いますっ、本当に、本当に持ってなくて」
持っていなくても困らなかった。
持ちたいとも思わなかった。
だって友達なんかいなかったから。
必要だとすら思わなかった。
「...新鮮だわ」
ぼそっと呟く玉森先輩。
「分かった。じゃあとりあえずこれからはこの教室で勉強してよ。俺、仕事ない時はここで勉強するから」
「はい」
「ミツにも言っとこ」
追試までよろしくね、と玉森先輩が私の頭をぽんと撫でた。
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R(プロフ) - 続編の下書き終わるの待ってます！ (2020年7月16日 20時) (
レス) id: 6721bb2d67 (このIDを非表示/違反報告)
ミィ(プロフ) - 私の好きな、女性に冷酷な太輔くん、ここにいました！女の子をとっかえひっかえみたいな。ドンジュアンみたいですね。やっぱりハマり役ですね。でも、物語はちょっとツラい展開になってきましたね・・・ (2019年9月14日 0時) (レス) id: 1dbee522b3 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - ayachokoさん» あやちゃん(TT)いつぶりだよっていうくらいの久々更新でごめんなさい。まだ読んでくれていたのですね涙。Fさんイイ男(あくまで自分的好み)に書きたいと思えば思う程出来なくて逃げました笑。ゆるゆるとですが頑張りますね(TT) (2019年9月1日 13時) (レス) id: ba5f8d5732 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - sioriさん» お久しぶりですw 悪い男なFさん私も大好きですが難しいです(TT)でもミュージカルのF様の素晴らしさに触発されたので再び頑張ってみようかと(><)。 (2019年9月1日 13時) (レス) id: ba5f8d5732 (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - 良かった、更新された(涙)ドンジュアンのおかげだね(笑)私も栞ちゃんと一緒でしろたんの描くメンバーみんな大好きです！しろたんが描く悪い男、すごいかっこいいのでこれからも楽しみにしています。 (2019年9月1日 12時) (レス) id: 307c8bd05d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ましろ
| 作成日時：2018年12月18日 7時
