Crazy love

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「ずっとされたかっただろ...？」

「ちがっ」

「しかも前よりもっと深いやつ」



学習室で、先輩が見知らぬ女の子と交わしていたキスが脳裏に蘇る。



「あん時、すげぇ羨ましそうに見てたもんな」

「見てな────んっ」



今度は噛み付くようにキスされ、さっきよりも強く下唇に吸い付かれ、咥内に強引に捩じ込まれる舌。

他人の舌が自分の口の中に。

初めての行為。ぬるりとした感触。
熱くて苦しくて、だけどそれだけじゃない感覚に戸惑い、怖くなる。

どうしたらいいのか分からなくて。

早く離れなくちゃ。

だけど脳も身体も痺れて動けない。

嫌だ。嫌じゃない。

他人の唾液なんて汚いものなのに、だけどそんなことより、他人の身体のイチブが自分に埋め込まれ侵食されていくような心地良さに、いつの間にか囚われていて。



「舌出して？」



ぞくりとする程、低く甘く、艶めいた先輩の声。
抗うことなんて出来るはずがなくて。

必死で舌を出せば、先輩の唇が吸いつく。

苦しいのに気持ちいい。
そんなおかしな感覚に身体の力が抜けていく。



「真面目な優等生もそんな顔出来んだね」



揶揄するように呟かれ、先輩が舌先が私の舌先を何度も擦するように動く。

その度にさっきからじんじんと疼いている場所がどんどん濡れていくのが分かる。

もう.....駄目。

がくんと膝から崩れ落ちる私を慌てて抱きとめる先輩。



「腰くだけた？」



何も言えずに先輩の身体にしがみついていると、



「可愛いね」



可笑しそうに先輩が笑う。
キスが終わってもまだ朦朧としたまま、先輩の笑い声が好きかもしれないと呑気なことを思った。



「Aは好きでもない男とキス出来んの？だとしたら真面目ぶってっけど相当なインラン、だね」



先輩の言う通りだ。壁際に追い詰められたとは言え、拒否することも逃げることも出来たはずなのに。



「気持ち良くさせてくれりゃ誰でもいい？」

「わ、私のこと気持ち悪くないんですか？」

「は？」

「だって！私と遊びだとしても付き合ったら絶対周りに馬鹿にされます。頭おかしいって思われます。先輩なら前の女の子みたいに、もっと可愛い子と遊べるのに、な、なんでよりによって私っ」
「それってもしかして告白？」



顎を摘まれ上を向かされ、顔を覗き込まれる。

綺麗な顔はもう笑ってはいなかった。



「俺のこと、好き？」



不釣り合いだって理解ってる。

ただの暇潰しだって充分理解ってる────。

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