Crazy love

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放課後、誰も利用者のいないはずの学習室にいつものように向かうと



「きゃっ!!!!」



教室内に人がいたことに驚いて大声を出してしまい
慌てて口を押さえる。

教卓に平然と腰を下ろし、脚をブラブラさせていたのは、異様に明るい髪色をしている見知らぬ男子生徒。

ワイシャツのボタンが２つも外れている胸元から慌てて目を逸らす。

特進コースの生徒じゃない。

名札の色が緑....てことは３年生？

先輩だと分かって顔が強ばった。

何か文句でも言われるんだろうか。

だけど自分はこの先輩のこと全く知らないし、見かけたこともない。

なら通学電車の中や校舎内の何処かで会って、誤解を生むような何かでもしてしまったんだろうか。

そんなことまで考えて不安になった。

怖くて、その先輩から目を逸らして俯いたままドア付近に突っ立っていると、先輩は教卓から飛び降りて、私の方へと近付いてきた。

波打つ鼓動と震え出す脚。

逃げ出したかったけれど、足が竦んで動けなかった。

やがて俯いている視線の先に彼の足が見えた。

殴られるんだろうか。

思わずギュッと目を瞑った。

すると、



「なに脅えてんの、傷つくんですけど」



拗ねたような、揶揄うような、そんな声。
想像していたよりも明るく優しい声に身体の力が抜けていく。



「顔上げてよ」



甘えたように言われたけれど、必死に首を横に振った。

無理。そんなの絶対に無理。

今、彼と私の距離は３０cm程しかない。

これって完全にパーソナルスペース内。

やだ、何でそんなに近くにいるの、怖い。

涙が込み上げてくる。

なのに。



「あんま怯えられると、逆に変な気持ちになんだけど。もしかしてわざと煽ってんの？」



意味不明なことを言われた瞬間、
顎を掴まれ、持ち上げられる。


「ひっ」



恐怖に身を捩って逃げようとしたけれど、遅かった。

無理無理上を向かされ、目を見開いた瞬間、



「んっ！！」



唇に押し付けられたのは─────唇。

え....？！

何をされているのか理解するのにかなりの時間がかかってしまい、やっと状況を理解して慌てて先輩の胸を両手で押そうとしたら、その前にひょいと後ろに逃げられてしまった。



「嫌だった？」



生まれて初めてされた行為。

何で先輩がそんなことを訊くのか全く理解できなかった。

でもこの行為はこんな風に知らない人に勝手にされるものじゃない。

どうして。何で。

様々な感情が入り交じり、涙が零れ落ちた。

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