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こんな1億皆中流階級のような現在の日本でも、僅かな富裕層が存在するように、僅かな極貧層も紛れもなく存在する。
それこそほとんどの人間が一生の内に出会うことがない程の。
マヨネーズやケチャップと水道水、飴玉1個で1日を過ごした日は1度や2度ではない。
だから学校は好きだった。
給食が食べられるから。
身なりの不衛生さからか、クラスメイトから意地悪や嫌がらせをされていたけれど、それでも飢えよりはマシだった。
飢えはすぐ死に直結するから。
しかも何かあれば双子の蒼月がいつも私を守り助けてくれたから、私は不思議と自分を不幸だとは思わなかった。
身体は細く小さいくせに、負けん気が強く喧嘩も強かった蒼月。
蒼月さえ傍にいれば、どんなことだって耐えられた。
友達がいなくたって。
物心ついた時から、ゴミ屋敷のようなアパートで身を寄せ合い、助け合いながら生きてきた私達が、母が滅多に帰って来ないことに寂しさを感じなくなったのはいつ頃からだろう。
寧ろ見知らぬ若い男を伴い、家に帰って来られる方が私達にはよほど恐怖だった。
何故なら母の連れてくる男にろくな人間はおらず、大抵蒼月は殴られ、蹴られ、私は身体中撫で回されたり、お風呂を覗かれたりしていたからだ。
私が母の恋人に襲われそうになった夜、血だらけの蒼月と私はアパートを逃げ出し、警察に駆け込んだ。
重度のネグレクトとDVとの被害者だと認められた私達が施設に入ったのは小学校6年生の卒業式を控えた3月のことだ。
中学校に入ってから蒼月はとてもかっこよくなった。
背はあまり伸びなかったけれど、童顔で柔和な顔に似合わない男っぽく気の強い性格。
勉強もそこそこ出来て運動神経も抜群。
当然モテないわけがなかった。
蒼月目当てで私に近付いてくる女子達には正直うんざりだったけれど。
施設は人が人として生きていける最低限の衣食住は保障してくれるが、あくまでそれだけだ。
仕方のないことだけれど。
なのにいつからか、蒼月はかなり多くのお金を手に入れるようになっていた。
「施設の奴らには絶対内緒な」
そう言って私をお洒落な美容室に連れて行ってくれたり、今流行りの洋服を買ってくれる蒼月に、
「ねぇ、どうしてそんなにお金持ってるの?」
悪いことをしてるんじゃないかと心配で詰めよれば、
「殺したい程憎い親だけどさ、1つだけ感謝することがあったわ俺」
それが容姿のことを言っているのだと気づいたのはもっと後のことだった。
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ましろ(プロフ) - clubwonderさん» お待たせしていてごめんなさい;;やっと書き始めることが出来たので....相変わらずちまちま更新になるかとは思いますが、どうかお付き合い下さいませ!! (2018年8月10日 20時) (レス) id: ba5f8d5732 (このIDを非表示/違反報告)
clubwonder(プロフ) - お忙しいのか中々更新されないですね…。気長に待ってるので、このまま終わるという事にはならない事祈ります!続きが気になって仕方ないです! (2018年7月28日 1時) (レス) id: 697db724dd (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - みゆさん» 最近なかなか更新出来ずにごめんなさい;;また近々再開しますのであともう少しだけ待っていて下さいね!温かいお言葉本当に有難うございます。とっても嬉しいです^^ (2018年7月9日 0時) (レス) id: ba5f8d5732 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - sioriさん» siori様、しばらく更新せずにごめんなさい;;次の章では彼等sideも出てくるので全容が明らかになるかと。ってそんな大したこともないんですけどね(笑) (2018年7月9日 0時) (レス) id: ba5f8d5732 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - clubwonderさん» お返事遅くなってごめんなさい;;毎日覗きに来てくださっていたなんて嬉しくて泣きそうです。今少しお休みしていますが、今月末からまた書き進めようと思っていますのでもうしばらく待っていて下さいね。本当に読んで下さって有難うございます! (2018年7月9日 0時) (レス) id: ba5f8d5732 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ましろ | 作成日時:2018年5月8日 18時