＊ ページ49
「俺、昔、虹楼の俺等の住居っていうか控え室で自分で手首切って倒れてる人を見たことがあるんだ──」
突然の裕太の告白に私は目を見開いた。
それってどういう....
ドッドッドッ。
肌を突き破りそうなくらい上がっていく心拍。
言葉が出てこなかった。
裕太がそんな私を落ち着かせるように、自分の腕の中に引き寄せる。
「俺は子どもだったし、見るなって言われてすぐに別室に連れて行かれたんだけど、今思えばあの後からだし、アツの姿を見なくなくなったの。だからあの人がAの弟じゃなかったのかなって」
苦しい。
息が上手く吸えなくて目の前が霞んでいく。
「そこに....他の人は....いた？」
やっとのことで振り絞るように声を出せば、
「ミツがいたことは覚えてる」
咄嗟に裕太の胸にしがみついた私をぎゅっと抱きしめる裕太。
「裕太、ミツに会わせて！お願い。ミツはもう私とは逢ってくれないの。だからお願い！全部ミツは知ってるんでしょ？全部、全部知ってるんでしょ？」
一体蒼月に何が起こったの？
ここで何があったの？
泣きじゃくりながら必死に懇願する私に、
「Aじゃ無理だと思うよ」
裕太が困ったように言う。
ミツからきっと何か聞いているのだろう。
絶望が胸を襲う。
「その代わり、俺が色々調べてあげる。だから」
待ってて。
「え....？」
裕太がそんなことを言うとは思わなくて、私はびっくりして顔を上げた。
私の為に、調べてくれるの？
裕太が？
「ああ、何？その顔。俺だってAの為に何かしたいんだけど。つか、A、知らなきゃいつまでもずっとそうやって頑なに心閉ざしてそうだし」
「え？」
「ま、要はだから自分の為に調べるってこと」
裕太が涙で腫らした私の目にキスをする。
「Aはいつまで、アツキがいなくなった中学生の時のままいるつもり？」
口内をこじ開け深く入り込んでくる裕太の舌。
「ふっ、んっ、んぁっ」
舌を絡め取られ、口内を貪られる。
「ん、そこからっ、ずっと動けないままっ、心凍らせたままっ、色んな男とっ、こんなこと、してさっ、んっ」
唇が離れる度に、怒ったように言う裕太。
「んっ、んんっ、ぁぁっ、ん」
それでも裕太の唇が、舌が、指が、私の欲を引きずり出していく。
浅ましいほど。
徐々に熱を帯びていく身体と何処か冷えたままの心。
悲しくて、どうしようもなく悲しくて。
それでも上り詰めていく。
可哀想な女。
果てる瞬間、裕太がそう呟いた気がした。
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ましろ(プロフ) - clubwonderさん» お待たせしていてごめんなさい；；やっと書き始めることが出来たので....相変わらずちまちま更新になるかとは思いますが、どうかお付き合い下さいませ！！ (2018年8月10日 20時) (
レス) id: ba5f8d5732 (このIDを非表示/違反報告)
clubwonder(プロフ) - お忙しいのか中々更新されないですね…。気長に待ってるので、このまま終わるという事にはならない事祈ります！続きが気になって仕方ないです！ (2018年7月28日 1時) (レス) id: 697db724dd (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - みゆさん» 最近なかなか更新出来ずにごめんなさい；；また近々再開しますのであともう少しだけ待っていて下さいね！温かいお言葉本当に有難うございます。とっても嬉しいです^^ (2018年7月9日 0時) (レス) id: ba5f8d5732 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - sioriさん» siori様、しばらく更新せずにごめんなさい；；次の章では彼等sideも出てくるので全容が明らかになるかと。ってそんな大したこともないんですけどね(笑) (2018年7月9日 0時) (レス) id: ba5f8d5732 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - clubwonderさん» お返事遅くなってごめんなさい；；毎日覗きに来てくださっていたなんて嬉しくて泣きそうです。今少しお休みしていますが、今月末からまた書き進めようと思っていますのでもうしばらく待っていて下さいね。本当に読んで下さって有難うございます！ (2018年7月9日 0時) (レス) id: ba5f8d5732 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ましろ
| 作成日時：2018年5月8日 18時
