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「凄く仲良かったんでしょ!!知らないわけ──」
「お前、あいつのっ、一体アツキの何なんだよっ!」
布団から起き上がり、声を荒らげたミツがはっとして口を手で覆う。
「あ、いやっ、ご、ごめんっ、大声出して」
「私は....」
やっと。
やっと、蒼月を知ってる人に、逢えた。
私以外に蒼月を知ってる人に逢えた。
こみ上げる涙。
そんな私の様子を驚いたように見るミツ。
「A?」
「.....私、蒼月の双子、なの」
瞬間、私とミツを取り巻く空気が一気に凍りついたのが分かった。
ミツがバッと私から離れる。
そこにはもう見えない壁が出来ていた。
その理由が理解らず、私は傷付いた。
今までの甘く柔らかな時間などなかったかのように、ミツは信じられないものを見るかのような目で私のことをしばらく凝視していたが、やがてふっと視線を外した。
「A....銀座の有名なクラブのママの娘ってのは、嘘?」
「うん」
「じゃあ、アツを....探す為にここで男を買ってたってこと?」
「うん」
「....んなことの為に自分の身体張ったってわけ?」
「私にとってはそんなことじゃ、ない」
「お前さっ、何やってんだよっ、アツの気持ちも知らないでっ、こんなところで、一体何やってんだよっ!!」
「逢いたいのっ!!」
私は金切り声を上げた。
「ずっとずっと探してた....逢いたくて逢いたくて、それ以外のことなんてどうだっていいの!!」
「A....」
一瞬、ミツの顔が泣きそうに歪んだ。
「ミツは....何を知ってるの?」
「俺は....何も知らない!!」
「ミツっ!!」
ミツは立ち上がって、素早く着る物を身に付けると、
「もうここには来るな。ちゃんと幸せになって自分の人生を生きろ。俺に言えるのはそれだけだから」
俯きながらそう呟いて湯浴みの子を呼ぶ。
幸せ?
そんなもの要らない。興味もない。
私はただ蒼月に逢いたいだけ。
その為に不幸でなければいけないなら、別にそれで構わない。
「本当にもうここには来るなよ」
「約束なんかしない」
「Aっ!!」
その時呼び鈴が鳴り、バスローブを素早く身に付けてミツの方を見もせず廊下へ飛び出した私は、ランタンを持って待っていた少年とぶつかってしまう。
「あ、ごめんなさいっ」
「あっいえ、大丈夫ですか?もしかして痴話喧嘩とか?」
驚きもせずにくすりと笑う少年に、ぐちゃぐちゃになっていた感情が少し癒された。
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ましろ(プロフ) - clubwonderさん» お待たせしていてごめんなさい;;やっと書き始めることが出来たので....相変わらずちまちま更新になるかとは思いますが、どうかお付き合い下さいませ!! (2018年8月10日 20時) (レス) id: ba5f8d5732 (このIDを非表示/違反報告)
clubwonder(プロフ) - お忙しいのか中々更新されないですね…。気長に待ってるので、このまま終わるという事にはならない事祈ります!続きが気になって仕方ないです! (2018年7月28日 1時) (レス) id: 697db724dd (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - みゆさん» 最近なかなか更新出来ずにごめんなさい;;また近々再開しますのであともう少しだけ待っていて下さいね!温かいお言葉本当に有難うございます。とっても嬉しいです^^ (2018年7月9日 0時) (レス) id: ba5f8d5732 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - sioriさん» siori様、しばらく更新せずにごめんなさい;;次の章では彼等sideも出てくるので全容が明らかになるかと。ってそんな大したこともないんですけどね(笑) (2018年7月9日 0時) (レス) id: ba5f8d5732 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - clubwonderさん» お返事遅くなってごめんなさい;;毎日覗きに来てくださっていたなんて嬉しくて泣きそうです。今少しお休みしていますが、今月末からまた書き進めようと思っていますのでもうしばらく待っていて下さいね。本当に読んで下さって有難うございます! (2018年7月9日 0時) (レス) id: ba5f8d5732 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ましろ | 作成日時:2018年5月8日 18時