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Mitsu. ページ41

ミツとすぐにでも話の続きがしたかったけれど、私はしばらく逢いに行くことが出来なかった。

仕事が忙い日々が続き、季節の変わり目もあって、長く体調を崩したせいだった。

そんな中でやっと逢いに行けたのは、あの日から2ヶ月以上も経ってからだった。

その間に涼は元服を済ませ、湯浴みの係から外れたと聞いた。

誰に買われたんだろうか。

胸の奥がほんの僅か、ちくりと痛んだ。

良いお客がついてくれたらいいと思う。
這い上がる為に。

「Aっ!!」

明るく弾む声に、心と身体から喜びの感情が湧き出る。

「逢いたかった....」

「私も....」

偽りの恋人。
その場限りの恋人。

それでも心は、身体は、喜びを偽れない。

甘い口付けに溺れていく。

「何か、可愛いね、今日は」

早く逢いたくて、逢いたくて、この日をずっと待ち侘びていたことを悟られた気がして、顔が一気に赤くなる。

「俺に逢いたかった?」

「逢いたかった」

「っ、おまっ、ヤバいってそれ」

瞬間、世界が反転する。

布団の上に組み敷かれ、余裕のないミツの顔を見上げて身体が熱くなる。

「もうしたくなっちゃったじゃん....」

「うん....」

「これじゃ、立場反対じゃね?」

俺の方が、がっついてさ、とミツが苦笑する。

そういう言動も女が喜ぶと分かっていてやってるんだろうか。
演技も仕事の1つの彼等のことだから。

それでもやっぱりときめいてしまう。
ミツの一挙一動から目が離せなくなる。

「だからその目っ」

「目?」

「あっ、いや、何でもねー」

ミツが私の唇を覆う。
私の方から口を開ければ、すぐにミツの舌が入ってくる。

舌先が触れ合い、甘い疼きが身体を走っていく。

必死に舌を絡ませながら、唇を合わせれば、身も心も溶けていく。

「Aっ、もっと舌出してっ」

「んっ、ふっ、んんっ」

舌を強く吸われて、泡立ち零れ落ちる唾液。

「ハァ...Aとはキスだけで持ってかれそうに、なるっ」

掠れた声と共に熱く滾るモノが下半身に押し当てられる。

「んっ、ん、ずっと...キス、してたい...」

私も。

身体を重ねるよりもずっとずっと満たされる行為。

「目、開けて?」

至近距離で見つめ合い、鼻先を擦り合わせる、それだけで感じる身体。

「Aっ、Aっ」

もっと、もっと、名前を呼んで。



あなたに名前を呼ばれる度に、少しだけ自分のことを好きになれる気がするから。


許せる気がするから───。

*→←Ryo.



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ましろ(プロフ) - clubwonderさん» お待たせしていてごめんなさい;;やっと書き始めることが出来たので....相変わらずちまちま更新になるかとは思いますが、どうかお付き合い下さいませ!! (2018年8月10日 20時) (レス) id: ba5f8d5732 (このIDを非表示/違反報告)
clubwonder(プロフ) - お忙しいのか中々更新されないですね…。気長に待ってるので、このまま終わるという事にはならない事祈ります!続きが気になって仕方ないです! (2018年7月28日 1時) (レス) id: 697db724dd (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - みゆさん» 最近なかなか更新出来ずにごめんなさい;;また近々再開しますのであともう少しだけ待っていて下さいね!温かいお言葉本当に有難うございます。とっても嬉しいです^^ (2018年7月9日 0時) (レス) id: ba5f8d5732 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - sioriさん» siori様、しばらく更新せずにごめんなさい;;次の章では彼等sideも出てくるので全容が明らかになるかと。ってそんな大したこともないんですけどね(笑) (2018年7月9日 0時) (レス) id: ba5f8d5732 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - clubwonderさん» お返事遅くなってごめんなさい;;毎日覗きに来てくださっていたなんて嬉しくて泣きそうです。今少しお休みしていますが、今月末からまた書き進めようと思っていますのでもうしばらく待っていて下さいね。本当に読んで下さって有難うございます! (2018年7月9日 0時) (レス) id: ba5f8d5732 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ましろ | 作成日時:2018年5月8日 18時

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