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「脱がすの手伝いましょうか？」
服を着たまま立ち尽くす私に少年が困ったように声をかけた。
「あ、ごめんなさい。大丈夫、あなたもちゃんと服を着て」
「え？僕じゃお気に召しませんか？」
急に目に涙を浮かべる少年に、私は慌てて首を横に振った。
「違うわ。チップも渡すし、次回も湯浴みにあなたを指名する。だけど背中を流す必要はないから、ここで待っていて欲しいの」
きっと初めてそんなことを言われたのだろう。
少年が驚いたように目を瞬かせ、こちらの真意を探るように私を凝視する。
「仕事をしないのにお金を頂けるんですか？」
「ええ、それならいいでしょ？」
「いいですけど....でもやっぱり、それは僕に魅力がないということです、よね？」
「価値のないものにお金を払う程、人は優しくなんかないってここにいるあなたなら知ってるんじゃないの？」
「それは....」
困惑、不安、不満、安堵。
少年の表情には色々な感情がない交ぜになっていた。
それで、いい。
百戦錬磨の男達ならこんなことぐらいで心乱されたりはしないだろうけれど、まだ水揚げもされていない少年ならきっと、変わったお客の私を少し気にかけるようになってくれるはず。
「名前、教えて」
「健永…千賀、健永、です….」
「いい名前ね、千ちゃんて呼んでもいい？」
言えば少年の顔がぱっと明るく輝く。
「仲間からもそう呼ばれてるんです、嬉しいです」
屈託なく笑うとちゃんと年相応の可愛い少年に見えることに私はほっとする。
一体どれ程の女性、男性と共に湯に浸かってきたのだろう。
最後までしていないとしても、きっと己の身体を弄られたり、相手の身体を弄るよう強要されたりということはされてきたはずで。
それを思うと心が痛んだ。
「千ちゃん、もし仕事をしないことをを引け目に感じるなら、ここで歌を歌っていてくれる？」
「歌、ですか？」
「うん、千ちゃんの声とてもいい声だから」
私はそう言って千ちゃんに背を向けた。
身に付けている物を全て外し、衣服を脱ぎ捨て外に出る。
これから自分がしようとしていることを考えると足が震えてしまう。
こんなことをしている私を見たら蒼月は怒るだろうか。
悲しむだろうか。
それとも泣くだろうか。
けれど私はどうしても蒼月を探したかった。見つけたかった。
このまま会えないままなのは絶対に嫌だった。
後戻りは出来なかった。
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ましろ(プロフ) - clubwonderさん» お待たせしていてごめんなさい；；やっと書き始めることが出来たので....相変わらずちまちま更新になるかとは思いますが、どうかお付き合い下さいませ！！ (2018年8月10日 20時) (
レス) id: ba5f8d5732 (このIDを非表示/違反報告)
clubwonder(プロフ) - お忙しいのか中々更新されないですね…。気長に待ってるので、このまま終わるという事にはならない事祈ります！続きが気になって仕方ないです！ (2018年7月28日 1時) (レス) id: 697db724dd (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - みゆさん» 最近なかなか更新出来ずにごめんなさい；；また近々再開しますのであともう少しだけ待っていて下さいね！温かいお言葉本当に有難うございます。とっても嬉しいです^^ (2018年7月9日 0時) (レス) id: ba5f8d5732 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - sioriさん» siori様、しばらく更新せずにごめんなさい；；次の章では彼等sideも出てくるので全容が明らかになるかと。ってそんな大したこともないんですけどね(笑) (2018年7月9日 0時) (レス) id: ba5f8d5732 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - clubwonderさん» お返事遅くなってごめんなさい；；毎日覗きに来てくださっていたなんて嬉しくて泣きそうです。今少しお休みしていますが、今月末からまた書き進めようと思っていますのでもうしばらく待っていて下さいね。本当に読んで下さって有難うございます！ (2018年7月9日 0時) (レス) id: ba5f8d5732 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ましろ
| 作成日時：2018年5月8日 18時
