FとKi ページ30
部屋に入って来た、手足の長い、細身で長身の、雑誌モデルにでもいそうな男の子は、私をちらりと一瞥すると、仏頂面で私の目の前に座ってお辞儀をした。
「横尾、渉です。渉って呼んで下さい」
棒読みな挨拶。
マニュアル通りの作法。
眉間に皺の寄った険しい顔。
「ご要望はございますか?」
「え?特には....」
慇懃無礼にも思える威圧感に思わず言い淀むと、一瞬イラついた表情で私を見た渉が服を脱ぎ始めた。
「ちょ、ちょっと待ってっ」
「するんですよね?」
「あのっ、渉...君はいつもそういう感じ、で?」
「渉でいいです。特に要望がなければそうですけど」
何を言ってるんだこの人、という目で見られて、私は慌てて首を縦に振った。
「要望ある、あるからっ。普通に話がしたいの、お喋りがしたいの、それでいい?」
瞬間、渉が舌打ちしたような気がした。
「やっぱり。あんた、一体何者?俺達に張り付いてコソコソ何調べてんだよ」
裕太から何か聞いたのだろうかと思った。
そう思ってしまうくらい、渉の私への態度は最初から攻撃的だったから。
剥き出しの敵意。
裕太が裏切ったんだろうか。
それならそれで仕方なかった。
裕太の気持ちも痛いほど理解出来るから。
怪しい客から、自分を、グループを、メンバーを守ろうとするのは当然だろう。
既に知られてしまってるなら、今更取り繕っても意味がないと思った。
「i担当だった子のことが」
そこまで言った時だった。
渉に胸ぐらを掴まれ、私は驚いて咄嗟に身を捩り、体勢を崩して仰向けに倒れた。
瞬間、後頭部に激しい痛みを感じて、徐々に意識が遠のいていくのが分かった。
真っ白な天井。
私は見たこともない部屋のベッドに寝かされていた。
頭に違和感を感じて手をやれば、巻かれている包帯。
頭を怪我したのだと理解出来た。
どのくらい気を失っていたのだろうか。
ゆっくりと身を起こすと、ベッド脇の椅子に腰掛けていた人がびっくりして顔を上げた。
「目、覚めた?今お医者さん呼んでくるから」
そう言って慌てて部屋を出て行った少年は、どことなくジンに似ている気がした。
すぐにやってきた医者が私の脈や心音、血圧を調べて「異常ありません」と告げる。
「CTでも特に異常は認められませんでしたが、頭部の怪我なので念の為、今夜1日ここで入院して安静にしていて下さいね」
そう言われ、私は高級ホテルの一室のような部屋が病院の個室だということにやっと気づいた。
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ましろ(プロフ) - clubwonderさん» お待たせしていてごめんなさい;;やっと書き始めることが出来たので....相変わらずちまちま更新になるかとは思いますが、どうかお付き合い下さいませ!! (2018年8月10日 20時) (レス) id: ba5f8d5732 (このIDを非表示/違反報告)
clubwonder(プロフ) - お忙しいのか中々更新されないですね…。気長に待ってるので、このまま終わるという事にはならない事祈ります!続きが気になって仕方ないです! (2018年7月28日 1時) (レス) id: 697db724dd (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - みゆさん» 最近なかなか更新出来ずにごめんなさい;;また近々再開しますのであともう少しだけ待っていて下さいね!温かいお言葉本当に有難うございます。とっても嬉しいです^^ (2018年7月9日 0時) (レス) id: ba5f8d5732 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - sioriさん» siori様、しばらく更新せずにごめんなさい;;次の章では彼等sideも出てくるので全容が明らかになるかと。ってそんな大したこともないんですけどね(笑) (2018年7月9日 0時) (レス) id: ba5f8d5732 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - clubwonderさん» お返事遅くなってごめんなさい;;毎日覗きに来てくださっていたなんて嬉しくて泣きそうです。今少しお休みしていますが、今月末からまた書き進めようと思っていますのでもうしばらく待っていて下さいね。本当に読んで下さって有難うございます! (2018年7月9日 0時) (レス) id: ba5f8d5732 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ましろ | 作成日時:2018年5月8日 18時