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「ばかっ、ばかっ、Aのばかっ」
はだけた着物姿の二力が私を強く抱きしめる。
「女なんて嫌いだ、大嫌いだ！気持ち悪い。あれしろ、これしろ、甘い言葉囁け、奉仕しろ？自分の顔鏡で見たことあんのかよ、気持ちわりーんだよ！！狂ってる。Aだって、Aだってっ！！」
そう喚きながら布団の上に私を組み敷き、覆い被さる二力。
「気持ちわりーんだよ！！」
私を捉える怒りと悲しみを湛えた瞳。
「若い男なら誰だっていいのかよ？金で若い身体買えりゃそれで満足なのかよ？！」
「二力はここに来る女に何の幻想を抱いてるの？」
有り余る程の金を持って少年を買いに来る女達に。
そんなことに自分の心を痛めたって無駄なだけなのに。
ここを訪れる女達のことなど、這い上がる為に利用するだけ利用した後、きれいさっぱり捨ててしまえばいい。
「二力が心を痛めることなんてない」
「分かったよーな口聞くなよ！！」
「ごめん....」
私には二力の今の苦しみは理解出来ない。
二力が私の苦しみを理解出来ないように。
出来るのは、二力の気持ちを推し量り、慰めの言葉をかけてあげることだけだ。
「もうやだ、こんな生活も、アイドルもうんざりだよ、俺....」
弱々しく呟き、私を抱きしめたまま嗚咽を洩らして泣き出す二力に胸が痛んだ。
小さな時から特殊な世界に身を置いて、周りとは違うルールとモラルの中で生きている彼等。
「裏だけじゃない、表だって、無理に笑って媚びて変なファンには付け回されて、自由なんか何処にもない。いいことなんか何もない」
「じゃあ辞めちまえ！！」
怒鳴り声と突然部屋の襖が勢いよく開く音がしたと思った瞬間、
身体の上の重みがふわっと消え、同時に壁に何かがぶつかるような派手な音に、私は慌てて身を起こした。
「二力っ！！」
部屋の壁に背中を打ち付け、呻いている二力に驚いて駆け寄ろうとすれば、
「ごめんなさい、こいつ他のお客とダブルブッキングしてて。申し訳ありませんがすぐに戻ってきますんで」
意思の強そうな、凛とした雰囲気の少年が私を真っ直ぐ見つめた後、深々と頭を下げ、二力を引き摺るようにして部屋を出て行く。
言葉が出なかった。
今二力を引き摺っていったのは、虹楼の最年長のミツと呼ばれているＪｒだった。
何度か雑誌やＴＶなどで見たことがあり、小柄で実年齢よりも若く見え、何処となく蒼月に雰囲気と声が似ているのでよく覚えていたのだ。
心が、ぞわりとした。
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ましろ(プロフ) - clubwonderさん» お待たせしていてごめんなさい；；やっと書き始めることが出来たので....相変わらずちまちま更新になるかとは思いますが、どうかお付き合い下さいませ！！ (2018年8月10日 20時) (
レス) id: ba5f8d5732 (このIDを非表示/違反報告)
clubwonder(プロフ) - お忙しいのか中々更新されないですね…。気長に待ってるので、このまま終わるという事にはならない事祈ります！続きが気になって仕方ないです！ (2018年7月28日 1時) (レス) id: 697db724dd (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - みゆさん» 最近なかなか更新出来ずにごめんなさい；；また近々再開しますのであともう少しだけ待っていて下さいね！温かいお言葉本当に有難うございます。とっても嬉しいです^^ (2018年7月9日 0時) (レス) id: ba5f8d5732 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - sioriさん» siori様、しばらく更新せずにごめんなさい；；次の章では彼等sideも出てくるので全容が明らかになるかと。ってそんな大したこともないんですけどね(笑) (2018年7月9日 0時) (レス) id: ba5f8d5732 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - clubwonderさん» お返事遅くなってごめんなさい；；毎日覗きに来てくださっていたなんて嬉しくて泣きそうです。今少しお休みしていますが、今月末からまた書き進めようと思っていますのでもうしばらく待っていて下さいね。本当に読んで下さって有難うございます！ (2018年7月9日 0時) (レス) id: ba5f8d5732 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ましろ
| 作成日時：2018年5月8日 18時
