7 F ページ7
「というわけでご機嫌斜めなんです、うちの姫は太ちゃんに逢えず」
やれやれ、と溜め息をつきながらビールを煽る玉。
俺も苦笑しながらビールを煽った。
「お前が距離置けっつんたんだろ」
「そうなんだけどさ。ガヤだってそう思うでしょ?」
「まぁ、ね」
「一途すぎて心配なんだよ」
「お前に似たんだろ」
そう返してやれば、玉が目を丸くした。
「昔、彼女が、Aの幸せはAが自分で決めるんだから、見守ってればいいんだって言ってたんだけど、父親としてはそういうわけにもいかないじゃん、やっぱAが傷つくのは嫌だし...」
「信用ない?俺」
「そういう意味じゃなくて、オレはただこれ以上ガヤを好きになったら、ガヤを失った時にAが立ち直れないんじゃないかって思って、だから...」
「理解ってるよ」
玉の心配は父親として当然だと思う。
俺だって同じ事を何度も思い不安になったからこそ、Aから距離を取ろうと決めたのだから。
けれど玉の最愛の人はあっけからんと、
「そんなに人は弱くないから大丈夫よ。失う怖さに怯えていたら、何も手に入らないでしょ。太ちゃんに貰う幸せも、痛みもそれは全部Aだけのものだから」
そう笑っただけだった。
彼女は強い。
強くて潔い。
昔からずっと。
それがとても美しくて、眩しくて、綺麗で。
だから初めて彼女に出逢った時から目を離せなかったんだ...。
「ガヤ、今付き合ってる人って」
玉がばつが悪そうに話題を変える。
「ん?職場の同僚だよ」
「そっか。職場の人なら悪いこと出来ないね」
ほっとしたように言う玉に思わず苦笑した。
「何だよ、俺はいつだって真面目に付き合ってるよ」
真面目に付き合っている。
別に遊んで捨てようなんて思ってるわけじゃない。
その先にある結婚だってちゃんと考えてる。
考えてるけれど...
「今度紹介してよ、その人」
「ああ」
そろそろかなと思いながらも躊躇と迷いは消えず、そこまで自分を突き動かす衝動も訪れないまま、結局今も俺は独り身だった。
そんな中、Aがどんどん大人の女になっていく。
どんどん母親にそっくりになっていく。
俺はバッグから紙袋を取り出し、
「もうすぐAの誕生日だろ。プレゼントは玉から渡しといてよ」
「あ、うん、ありがと」
「俺はその日デートだとでも言っておいて」
言えば、玉がえ?という顔をした。
「何だよ、はっきり言った方がいいだろ」
「う、ん」
玉の表情は曇ったままだった。
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ましろ(プロフ) - ayachokoさん» た、大したことない(爆)太ちゃんが独りで息巻いてるだけです(爆)(爆) てかそんな思い付かないですよねアクロバティックなこと← (2017年12月14日 9時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - ぐりさん» うわぁーもう半月経ってますね涙。ご、ごめんなさい;; しかもこの先、しばらくずっと話も動きませんが、どうかお付き合い下さいませヽ(;▽;)ノ (2017年12月14日 9時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - mamiさん» だいぶお待たせしてしまい本当にごめんなさいっ(土下座)体調崩して長期療養していて涙 ぼちぼち復活出来そうなので頑張りますね><。。 (2017年12月14日 9時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - すごいです、ましろさん…!!脇の下攻めるとかさすがすぎて(//∇//)私が知らない愛し方で啼かせて太ちゃんっ!←違う 自坦のハッピーエンドが少ないましろさんの作品。このお話はどうなるのか…ドキドキ(@_@;)続き楽しみにしてますっ(*≧∀≦*) (2017年11月30日 12時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ぐり(プロフ) - もーう息苦しい!!ので、続きを!!どうかよろしくお願いしますー!!笑 (2017年11月28日 23時) (レス) id: ccfaf12877 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ましろ | 作成日時:2017年10月14日 16時