検索窓
今日:19 hit、昨日:0 hit、合計:94,426 hit

10 ページ10

突然ふわっと身体が軽くなる。

太ちゃんに抱き上げられたんだと分かった。

すぐに近くに停めてあった車の助手席に降ろされる。

この助手席...

車内は太ちゃんの匂いに混じって、微かに違う匂いもした。

甘ったるい香水のような。

イラっとした。

もしかしてさっきまで別の女が乗ってた?
まさか、恋人?

すぐに車を発進させる太ちゃん。

「夜間救急行くか?それとも自宅で大丈夫か?」

太ちゃんの左手が私の頭を撫でる。

「家で平気」

「ほんとに?」

「うん、生理痛が酷いだけだから」

言えば、太ちゃんが一瞬言葉に詰まって、

「じゃあ少しの間我慢して。座席倒して丸くなっていいから」

優しい声で言い、信号待ちしている間に後部座席からブランケットを取って私にかけてくれた。

少しはドキッとした?

私は子どもかもしれないけど、子どもだけじゃないんだから。
もう赤ちゃん産むことだって可能なんだから。

そんな私の心の中を見透かしたように太ちゃんがぽつりと呟いた。

「A、お前もしかして化粧して塾行ってんの?」

「....」

「化粧なんかまだすんなよ。Aはそのままの方が綺麗だよ」

太ちゃんにまだお前は子どもなんだって言われているようで、酷く傷ついた。

私の少しでも背伸びしたい気持ち、
早く大人になりたい気持ちを知ってるくせに。

「もうすぐ着くからな」

それでも私に触れる優しい手は、私のことを幸せに、切なくさせる。

残酷な程優しくて、男な、手。

その手で恋人にも触れるの?

優しく触れて、撫でて、
激しく掴んで、

そして

恋人を愛するの...?

嫉妬で狂いそうだった。

「A、しんどい?もう着くからな」

「太ちゃん」

「ん?」

「帰る前に話がしたいの、近くのお店の駐車場に車を停めて」

「え?具合は」

「もう大丈夫だから。大丈夫だから少しだけ太ちゃんと話がしたいの、ねぇいいでしょ」

私の必死の懇願に、綺麗な横顔を困ったように歪める太ちゃん。

「これで最後にするから」

消えそうな声で呟けば、

「...分かった」

太ちゃんは家の近くのファミレスの駐車場に車を停めてくれた。

「ありがと太ちゃん」

「お腹痛いのってもしかして仮病?」

呆れ声の太ちゃんに、傷つきながらも私はコクンと頷いた。

「そうでも言わなきゃ逢ってくれないと思って」

「....」

「私、太ちゃんに何か嫌われるようなことしたのかな?してたなら謝るから、だから教えて、避けてる理由っ」

言葉の途中で涙が溢れ出た。

11 F→←9



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (176 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
314人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ましろ(プロフ) - ayachokoさん» た、大したことない(爆)太ちゃんが独りで息巻いてるだけです(爆)(爆) てかそんな思い付かないですよねアクロバティックなこと← (2017年12月14日 9時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - ぐりさん» うわぁーもう半月経ってますね涙。ご、ごめんなさい;; しかもこの先、しばらくずっと話も動きませんが、どうかお付き合い下さいませヽ(;▽;)ノ (2017年12月14日 9時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - mamiさん» だいぶお待たせしてしまい本当にごめんなさいっ(土下座)体調崩して長期療養していて涙 ぼちぼち復活出来そうなので頑張りますね><。。 (2017年12月14日 9時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - すごいです、ましろさん…!!脇の下攻めるとかさすがすぎて(//∇//)私が知らない愛し方で啼かせて太ちゃんっ!←違う 自坦のハッピーエンドが少ないましろさんの作品。このお話はどうなるのか…ドキドキ(@_@;)続き楽しみにしてますっ(*≧∀≦*) (2017年11月30日 12時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ぐり(プロフ) - もーう息苦しい!!ので、続きを!!どうかよろしくお願いしますー!!笑 (2017年11月28日 23時) (レス) id: ccfaf12877 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ましろ | 作成日時:2017年10月14日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。