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「A、クリスマスの日、一緒に朝まで過ごさない?」
大きな大会が無事に終わった北山先輩は、受験勉強に本腰を入れ、図書室で勉強しながら私の部活が終わるのを待っていてくれるようになった。
「クリスマス?」
その言葉は私の心に棘のように突き刺さった。
何故なら、その日は太ちゃんの結婚式の日だから。
パパもママも式に出席するけれど、私は出席しないと断ったら、意外にもパパはあっさりと了承してくれた。
「まだ、早い?」
黙っている私の顔を北山先輩が覗き込む。
朝まで一緒に過ごすっていうのは、つまりはそういうことで。
不安そうに私を見つめる北山先輩と目が合った。
「無理なら、普通にデートするだけでも」
「大丈夫!...です」
いつも自信に満ち溢れた先輩の、そんな不安そうな表情なんて見たくなくて、私は首を横に振った。
「私も、先輩とずっと...いたい、です」
正直、太ちゃんの結婚式の日に独りでいるのは耐えられなかった。
そんな狡い気持ちを心の奥に秘めて返事をすれば、北山先輩は一瞬絶句し、大きく息を吐いた。
「良かったぁ...試合より心臓バクバクしたわ」
そして、並んで歩く私の肩をぐいっと引き寄せ、
「ちゃんとしたホテルに泊まって、愛し合お」
私の耳元で低く掠れた声で囁く。
その甘く色めいた声に頭がクラクラした。
私は北山先輩が、好き。
人としても、男としても。
それは決して嘘じゃない。
北山先輩の腕の中は心地よくて、その唇は気持ちが良くて、嫌だと思ったことは1度もない。
だからきっと後悔なんてしない。
だけど、私はその前に、どうしてもしたいことがあった。
前に進む為に。
後悔しない為に。
この想いに終止符を打つ為に────。
*
それは本当に偶然だった。
金曜日の夜、私は息抜きがしたいという北山先輩と、映画を一緒に観に行った。
電車が別方向の為、駅構内でお別れをした後、ファミレスに上着を忘れたことに気づいて、急いで取りに戻った、その時だった。
太ちゃん!
通りの向こうを歩いている太ちゃんと、その隣で親しげに太ちゃんに話しかけている知らない女の人。
あの人が婚約者?
一瞬そう思ったけれど、
けれどあんな人、学校にいた?
全ての教師の顔と名前を覚えているわけじゃなかったけれど、それにしても全く記憶にない、見た目も雰囲気も教師っぽさとはかけ離れている女の人に、さすがに違和感を感じた。
金に近い茶髪に巻き髪。
まさか、浮気?
胸がズキリと痛んだ。
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ましろ(プロフ) - ayachokoさん» た、大したことない(爆)太ちゃんが独りで息巻いてるだけです(爆)(爆) てかそんな思い付かないですよねアクロバティックなこと← (2017年12月14日 9時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - ぐりさん» うわぁーもう半月経ってますね涙。ご、ごめんなさい;; しかもこの先、しばらくずっと話も動きませんが、どうかお付き合い下さいませヽ(;▽;)ノ (2017年12月14日 9時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - mamiさん» だいぶお待たせしてしまい本当にごめんなさいっ(土下座)体調崩して長期療養していて涙 ぼちぼち復活出来そうなので頑張りますね><。。 (2017年12月14日 9時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - すごいです、ましろさん…!!脇の下攻めるとかさすがすぎて(//∇//)私が知らない愛し方で啼かせて太ちゃんっ!←違う 自坦のハッピーエンドが少ないましろさんの作品。このお話はどうなるのか…ドキドキ(@_@;)続き楽しみにしてますっ(*≧∀≦*) (2017年11月30日 12時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ぐり(プロフ) - もーう息苦しい!!ので、続きを!!どうかよろしくお願いしますー!!笑 (2017年11月28日 23時) (レス) id: ccfaf12877 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ましろ | 作成日時:2017年10月14日 16時