5 ページ5
叶わなかった初恋をいつまでも引きずっているのは、こんなにも近くにあなたがいるから。
俺の目の前で弾けるように笑うから。
だから俺はいつまでも決心がつかない。
恋人の人生を背負うことが出来ない。
*
Aが小学校を卒業した。
卒業式はさすがに平日で参列出来なかったけれど、玉森家の夜の食事会に向かった俺は、レストランの入り口で待っていてくれた袴姿のAに思わず見惚れてしまう。
「太ちゃん、来てくれてありがと」
「A、袴姿似合ってる。凄い綺麗だよ」
素直な気持ちを口にすれば、嬉しそうにAが頬を赤らめた。
「お化粧も少ししたんだよ。大人みたい?」
「うん、凄く大人っぽい」
「ああ、早く大人になりたいな」
Aがぽつりと呟く。
「嫌でも大人になるんだから、まだまだ青春を楽しみなさいって」
「もう、年寄りみたいなこと言わないでよ太ちゃん」
「Aからしたら年寄りだろ、充分」
「年寄りなんかじゃないもん。太ちゃんは若くてかっこいいもん」
「ふはっ、お前は俺にほんっと甘いよな」
「周りの友達も皆言ってるもん、太ちゃんのことかっこいいって。私、羨ましがられるんだよ」
何を羨ましがられるんだか。
意味深な言葉を吐いたAが俺の手をぎゅっと握りしめる。
今まで当たり前のように繋いでいたけれど、今日は何だか、一瞬の躊躇とわずかな後ろめたさを感じたのは、Aが少し大人になったからだろうか。
来月からは中学生のA。
いつの間にか、だいぶ子どもじゃなくなった顔つきと体つき、それに喋り方。
少女と女の間の危うい繊細な色香を漂わせながら、未だに俺を慕い続けるAに、正直どうしたらいいか分からなくなる時がある。
ついこの間まで、あんなに小さかったのに。
こんな風に手を繋いだりすることも、きっともうそろそろ...
Aだって本当は理解ってるはずだろう。
だけど、気付いてないふりをして、無邪気なふりをして、Aは俺の隣にいようとする。
そうしなければ、俺が離れていくと理解っているから。
「A、卒業おめでとう」
俺はAの要望通り、中学校の鞄に付けるキーホルダーとシャープペンシルをプレゼントした。
学校でもずっと一緒にいられる物が欲しいと言われたから。
一途で健気で可愛いA。
だけどこれからAの世界は更に広がっていく。
男は俺だけじゃない────。
314人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ましろ(プロフ) - ayachokoさん» た、大したことない(爆)太ちゃんが独りで息巻いてるだけです(爆)(爆) てかそんな思い付かないですよねアクロバティックなこと← (2017年12月14日 9時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - ぐりさん» うわぁーもう半月経ってますね涙。ご、ごめんなさい;; しかもこの先、しばらくずっと話も動きませんが、どうかお付き合い下さいませヽ(;▽;)ノ (2017年12月14日 9時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - mamiさん» だいぶお待たせしてしまい本当にごめんなさいっ(土下座)体調崩して長期療養していて涙 ぼちぼち復活出来そうなので頑張りますね><。。 (2017年12月14日 9時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - すごいです、ましろさん…!!脇の下攻めるとかさすがすぎて(//∇//)私が知らない愛し方で啼かせて太ちゃんっ!←違う 自坦のハッピーエンドが少ないましろさんの作品。このお話はどうなるのか…ドキドキ(@_@;)続き楽しみにしてますっ(*≧∀≦*) (2017年11月30日 12時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ぐり(プロフ) - もーう息苦しい!!ので、続きを!!どうかよろしくお願いしますー!!笑 (2017年11月28日 23時) (レス) id: ccfaf12877 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ましろ | 作成日時:2017年10月14日 16時