ETERNAL after story

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北山先輩が私に素引きをさせる。

「中てることよりも、正射必中だからな。正しい綺麗な射形を身体に覚えさせないと、必ず壁にぶち当たるぞ」

「はい」

「でも始めたばかりにしては、Aは綺麗な射形だから、筋はいいよ」

「有り難うございます」

北山先輩は部活の女の子達全員を名前で呼び捨てにするが、それがちっとも不快に感じないのは、その人のキャラなんだと思う。

普段はチャラくて、ふざけてる雰囲気だけど、こんなに綺麗に弓を引く人が、真っ直ぐで真面目な人だって分かる。

だからこその部長で、生徒会長なんだろう。

「お前、部活熱心だよな」

「何となく入ってみたけど、凄く楽しいです。大好きです」

「俺も好き」

真面目に言われ、まるで告白みたいな会話になってることに気づいて顔が熱くなった。

嬉しそうに笑う北山先輩は、本当のアイドルみたいにキラキラしてて、何だか眩しかった。

後輩からの人望厚い北山先輩。
童顔で可愛らしい容姿には似つかわしくない、男らしい性格。

私はこの先輩のことが、弓道の上手さだけではなく、人としても嫌いじゃなかった。

「Aって変わってるよな」

唐突に言われ、先輩の方を振り返れば、先輩が私を見つめている。

北山先輩は人の目をちゃんと見て会話をする人だから、私はいつもその綺麗な瞳に釘付けになってしまう。

「俺は嫌いじゃないけど」

「何か言われてますか？私」

何となく分かっていることだったけれど、敢えて訊いてみれば、先輩は笑って、

「まぁ、そういうのは大抵単なるやっかみと僻みだから気にすんな」

私の頭をぽんっと撫でる。

「はい」

同性にあまり快く思われない自分だというのは自覚している。
思っていることをはっきり言いすぎるのと、他人に迎合出来ないせいで。
我が儘なところも確かにあるんだと思う。

でも納得すれば合わせることも、譲歩だって出来る。
何が何でも自分をいつも押し通してるわけじゃない。

「Aってひとりっ子だろ？」

「はい...」

あまり良くない意味で使われることの方が多い『ひとりっ子』

「やっぱり。俺もだから理解るよ」

「先輩も？」

「そ。自分を貫くって簡単なようですっげー難しいけど、俺はAのこと応援してっから」

北山先輩がそんなことを言うなんて意外だった。

「先輩は私がしんどそうに見えますか」

敵わない。

人望ある生徒会長で、部のこともしっかりとまとめている部長は、他人のこともよく見ている人なんだって思った。

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