検索窓
今日:5 hit、昨日:19 hit、合計:94,482 hit

12 ページ12

「どうして、どうして太ちゃんに逢いたいと思ったら駄目なの?」

この世に生まれた時から俺の大切な宝物。

俺を慕い、懐く小さく愛らしい生き物は、いつの間にか女の色香を纏い出し、いつまでも可愛い妹という扱いをしている訳にはいかなくなった。

俺を見つめる、心を溶かされてしまいそうな程の熱視線。

嬉しくないわけがない。

こんなにも長い間一途に想われて。

だけど、俺を好きだと言い続けるAの傍に、俺がいつまでもいていいはずがない。

「俺はいつだってAのことを本当の妹みたいに大切に思ってるよ。だから心配なんだ、俺から少し離れて、同級生と遊んだり恋をして欲しいんだよ」

瞬間、俺はAに胸ぐらを掴まれた。
意思の強そうな黒目がちな瞳が涙を湛えたまま、俺を睨む。

「それが太ちゃんの本音?」

「ああ」

「私の気持ちは迷惑?」

「俺は応えられない」

「そういうことを聞いてるんじゃない!迷惑なの?」

迷惑なんかじゃない。
いつまでもいつまでも俺だけ見て想って、俺の傍にいろよ。
本当はそう思ってる。

可愛いA。
美人で勝ち気で、俺にだけ弱いA。

ずっと俺に溺れてろよ。
そんなことは絶対に言えないけれど。

「私の気持ちになんか応えてくれなくていい。ただ逢いたいの、顔が見たいの、こんな風に太ちゃんに逢いたいの、それすら駄目なの?」

「Aは本当の俺を知らないから...」

「え?」

険しい顔をしていたAが戸惑いの色を浮かべる。

「お兄ちゃんな俺は優しい王子様かもしれないけど、男の俺はそうじゃないってこと。だからAの今の気持ちも、ただの憧れだって思うし、そういう意味で違う男に目を向けたらって言ってるんだよ、俺は」

「本当の太ちゃん...?」

「言っとくけど俺、Aに見せてないから」

心の中で諦めて欲しくない気持ちと、諦めて欲しい気持ちがせめぎあう。

応えられないなら手を離さなきゃいけないのは理解ってる。

俺も我が儘だな。

こうして逢ってしまえば、揺れる心。
乱される決意。

「じゃあ本当の太ちゃんを見せて」

「え?」

「こんなのフェアじゃない、狡いよ」

Aの目からとうとうポロポロと涙が溢れ落ちた。

「本当の太ちゃんを見せて、嫌いにさせてよ」

「それは...今は無理だよ...」

紡ぐ声が掠れた。

「いつならいいの?16歳?16になったら女として私を見てくれるの?ねぇ、それまで待ってて太ちゃん、私のこと待ってて」

Aが俺の頬に触れた。

13→←11 F



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (176 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
314人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ましろ(プロフ) - ayachokoさん» た、大したことない(爆)太ちゃんが独りで息巻いてるだけです(爆)(爆) てかそんな思い付かないですよねアクロバティックなこと← (2017年12月14日 9時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - ぐりさん» うわぁーもう半月経ってますね涙。ご、ごめんなさい;; しかもこの先、しばらくずっと話も動きませんが、どうかお付き合い下さいませヽ(;▽;)ノ (2017年12月14日 9時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - mamiさん» だいぶお待たせしてしまい本当にごめんなさいっ(土下座)体調崩して長期療養していて涙 ぼちぼち復活出来そうなので頑張りますね><。。 (2017年12月14日 9時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - すごいです、ましろさん…!!脇の下攻めるとかさすがすぎて(//∇//)私が知らない愛し方で啼かせて太ちゃんっ!←違う 自坦のハッピーエンドが少ないましろさんの作品。このお話はどうなるのか…ドキドキ(@_@;)続き楽しみにしてますっ(*≧∀≦*) (2017年11月30日 12時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ぐり(プロフ) - もーう息苦しい!!ので、続きを!!どうかよろしくお願いしますー!!笑 (2017年11月28日 23時) (レス) id: ccfaf12877 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ましろ | 作成日時:2017年10月14日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。