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「どうして、どうして太ちゃんに逢いたいと思ったら駄目なの?」
この世に生まれた時から俺の大切な宝物。
俺を慕い、懐く小さく愛らしい生き物は、いつの間にか女の色香を纏い出し、いつまでも可愛い妹という扱いをしている訳にはいかなくなった。
俺を見つめる、心を溶かされてしまいそうな程の熱視線。
嬉しくないわけがない。
こんなにも長い間一途に想われて。
だけど、俺を好きだと言い続けるAの傍に、俺がいつまでもいていいはずがない。
「俺はいつだってAのことを本当の妹みたいに大切に思ってるよ。だから心配なんだ、俺から少し離れて、同級生と遊んだり恋をして欲しいんだよ」
瞬間、俺はAに胸ぐらを掴まれた。
意思の強そうな黒目がちな瞳が涙を湛えたまま、俺を睨む。
「それが太ちゃんの本音?」
「ああ」
「私の気持ちは迷惑?」
「俺は応えられない」
「そういうことを聞いてるんじゃない!迷惑なの?」
迷惑なんかじゃない。
いつまでもいつまでも俺だけ見て想って、俺の傍にいろよ。
本当はそう思ってる。
可愛いA。
美人で勝ち気で、俺にだけ弱いA。
ずっと俺に溺れてろよ。
そんなことは絶対に言えないけれど。
「私の気持ちになんか応えてくれなくていい。ただ逢いたいの、顔が見たいの、こんな風に太ちゃんに逢いたいの、それすら駄目なの?」
「Aは本当の俺を知らないから...」
「え?」
険しい顔をしていたAが戸惑いの色を浮かべる。
「お兄ちゃんな俺は優しい王子様かもしれないけど、男の俺はそうじゃないってこと。だからAの今の気持ちも、ただの憧れだって思うし、そういう意味で違う男に目を向けたらって言ってるんだよ、俺は」
「本当の太ちゃん...?」
「言っとくけど俺、Aに見せてないから」
心の中で諦めて欲しくない気持ちと、諦めて欲しい気持ちがせめぎあう。
応えられないなら手を離さなきゃいけないのは理解ってる。
俺も我が儘だな。
こうして逢ってしまえば、揺れる心。
乱される決意。
「じゃあ本当の太ちゃんを見せて」
「え?」
「こんなのフェアじゃない、狡いよ」
Aの目からとうとうポロポロと涙が溢れ落ちた。
「本当の太ちゃんを見せて、嫌いにさせてよ」
「それは...今は無理だよ...」
紡ぐ声が掠れた。
「いつならいいの?16歳?16になったら女として私を見てくれるの?ねぇ、それまで待ってて太ちゃん、私のこと待ってて」
Aが俺の頬に触れた。
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ましろ(プロフ) - ayachokoさん» た、大したことない(爆)太ちゃんが独りで息巻いてるだけです(爆)(爆) てかそんな思い付かないですよねアクロバティックなこと← (2017年12月14日 9時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - ぐりさん» うわぁーもう半月経ってますね涙。ご、ごめんなさい;; しかもこの先、しばらくずっと話も動きませんが、どうかお付き合い下さいませヽ(;▽;)ノ (2017年12月14日 9時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - mamiさん» だいぶお待たせしてしまい本当にごめんなさいっ(土下座)体調崩して長期療養していて涙 ぼちぼち復活出来そうなので頑張りますね><。。 (2017年12月14日 9時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - すごいです、ましろさん…!!脇の下攻めるとかさすがすぎて(//∇//)私が知らない愛し方で啼かせて太ちゃんっ!←違う 自坦のハッピーエンドが少ないましろさんの作品。このお話はどうなるのか…ドキドキ(@_@;)続き楽しみにしてますっ(*≧∀≦*) (2017年11月30日 12時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ぐり(プロフ) - もーう息苦しい!!ので、続きを!!どうかよろしくお願いしますー!!笑 (2017年11月28日 23時) (レス) id: ccfaf12877 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ましろ | 作成日時:2017年10月14日 16時