友人の想い ページ40
よく事情も知りもしない人に、何故突然非難されるんだろうと一瞬理不尽な気持ちになったけれど、もしかしたら藤ヶ谷さんから私のことを色々と聞いているのかもしれないと思った。
藤ヶ谷さんの会話にはよく横尾さんのことが出てきていたし、2人がとても仲が良いというのは知っていたから。
「Aちゃんは太輔の友人と不倫関係にあったんでしょ。それも太輔の元恋人と結婚した人と。今は別れてるって太輔に聞いたけど、一体どういうつもりでここに?」
やはり、横尾さんは私の事情を全部知っていた。
「怪我の世話だけで好きでもない男と一緒に暮らしてるわけはないよね?まさかもう乗り替えた、とか?」
「ち、違いますっ」
横尾さんの顔に浮かぶ、非難、侮蔑、怒り。
私のことを軽い女だと思っているのは一目瞭然だった。
口調はとても静かだったけれど、その分一層強く責められている気がして、うっすら涙が滲んでくる。
「違うなら尚更どういうつもり?中途半端に太輔に関わって太輔の心に入り込んで。こんな風に傍にいたら太輔は本気でAちゃんを好きになるよ。いや、もうなってるのかもしれないけど。大切な人を失った太輔をまた同じ目に合わせる気?太輔は─」
「そんなことするつもりはありませんっ。藤ヶ谷さんが私を好きというのも誤解ですから」
私は横尾さんの言葉を途中で遮った。
藤ヶ谷さんは私と過去を共有したことで、今は一時的に私と痛みを分け合っているだけだ。
私自身も全てを知る藤ヶ谷さんに今は寄りかかっているのかもしれないけれど、決して横尾さんの言うような感情はお互いにない。
ない、はず。
「あのね」
大きく息を吐く横尾さんが内心苛立っているのが分かった。
「俺でも理解るよ。太輔はどんなに弱っていたって好きでもない女と暮らしたりはしないよ」
その時だった。寝室のドアが思いっきり開き、
「渉、勝手に俺の気持ち代弁すんなよ」
藤ヶ谷さんがよろよろと寝室から出てきた。
「太輔!寝てろって」
「Aを責めんな。さすがに寝れねーわ」
「起きてたのか」
「渉がAに説教すんじゃねーかなと思って心配で」
苦笑し、ドサッとソファーに身を沈めた藤ヶ谷さん。
私は冷蔵庫からペットボトルの水を持ってきて手渡す。
「ごめんなA、渉怖かったろ?本当は優しい奴なんだけど俺に甘いんだよ。許してやって」
私の手を掴み、愛おしそうに私を見つめる藤ヶ谷さんがあまりに儚く見えて苦しくなった。
「逢いたかった」
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ましろ(プロフ) - キスマイさん» うわーーん嬉しいです。いつも丁寧に読んで下さって本当に有難うございます。その上温かいコメントまで。毎回励まされ勇気づけられているんですよ。ちょっと挫けそうなくらい暗い展開が続きますが、最後までお付き合い下さったら嬉しいです^^ (2017年7月8日 13時) (レス) id: 0880e3292b (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - sioriさん» ラストに近づくとしんどくなって書くのが遅くなる私の悪い癖が;;;;頑張ります、頑張って次は明るいお話しを書きますよ←本当かい(笑) (2017年7月8日 13時) (レス) id: 0880e3292b (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - みきさん» 嬉しいお言葉有難うございます。自分でも続きを書いていてあまりに堂々巡りで嫌になってしまうんですが、そう言って頂けると勇気が出ます(単純)不完全な3人が悩みに悩んで出す結論をどうか見守って下さい。読んで下さり有難うございます^^ (2017年7月8日 13時) (レス) id: 0880e3292b (このIDを非表示/違反報告)
キスマイ(プロフ) - 何度もすみません。読み終わるたびに、毎回お星様の一番右をポチッと押してしまうくらい、この作品が大好きです! (2017年7月4日 13時) (レス) id: ecf182a48a (このIDを非表示/違反報告)
キスマイ(プロフ) - (続きです)応援しています。みっくんの結婚した事実を知ることはあるのか、知ったらどうするのか、どっちを選ぶのか、選ばないのか、いろいろ考えながらとても楽しみにしています。素敵な作品を読めて幸せです! (2017年7月4日 13時) (レス) id: ecf182a48a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ましろ | 作成日時:2017年5月23日 17時