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明らかになる真実 F ページ34

「北山!」

後ろから声をかけると、北山がぎょっとした顔で振り返った。

「藤ヶ谷...」

慌てて俺から逃げようとする北山の肩を咄嗟に掴んだ。

「北山、待てって」
「見ないでくれ...!」

一言叫んで、車椅子を足早に押していく北山。
瑞希のことを言っているのだとすぐ理解った俺は、車椅子の前に回り込んだ。

「藤ヶ谷!」
「瑞希!」

悲鳴のような北山の声と、俺が言葉を発したのは同時だった。

「え...瑞希?...」

「真...ちゃん」

瑞希の愛らしい小さな唇が知らない男の名前を紡いだ。

しっかり俺の目を見て、微笑んで。

「真ちゃん、早く夏祭りの浴衣買いに行こう」

しんちゃんて、誰だ。

固まる俺に、北山が呟いた。

「お前にだけはこの姿を見られたくなかったのに...」





北山が病室に瑞希を寝かせに行った後、俺は中庭のベンチに座って北山が戻って来るのを待っていた。

鼻チューブを入れ、ニット帽を被り車椅子に乗っていた瑞希は、顔色が悪くまるで子供のように痩せて小さくなっていた。

瑞希?

目の前の光景が信じられなかった。

お洒落が大好きで、可愛いものが大好きで、いつだって天真爛漫に弾けるように生きていた、瑞希?

それでも可愛い声と、輝くような大きい瞳は間違いなく瑞希で。

嘘だろ...

あれは明らかに深刻な状態だった。

そして俺を他の男間違えていた。

何が、あったんだ。

座っている脚がガクガクと震える。

瑞希...!!

息が苦しい。

座ったまま頭を抱えていた俺は、隣に座った北山にしばらく気付かなかった。

北山に気付いた俺が口を開こうとした時、

「癌だよ」

北山が俺の目を見て静かに言った。

俺は目を見開いた。

「瑞希に肺癌が見つかったのは藤ヶ谷がアメリカへ行ってすぐだった。既に脳に遠隔転移もしていて、若いし、進行癌だし、医者からは治療しても根治は望めないって言われた」

「何...言ってんの...」

淡々と話す北山に怒りが沸いた。

余命宣告?瑞希が、死ぬ...?
嘘だろ...嘘だ!

「1年、最初はそう言われた。だけど副社長の力でこの病院で最新の治療を受けて、今まで生きてこられたんだ」

「何だよそれ...あいつ、幸せに生きてるんじゃなかったのかよ...」

俺の手を放して。
北山の手を取って。

幸せに生きてたんじゃなかったのかよ!

「瑞希はお前に知られたくなかったんだ。見られたくなかったんだ。だからお前の元から去ったんだよ」

そう言って俯いた北山が過去の真実を話し始めた。

過去〜回想〜 Ki→←予期せぬ再会 F



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ましろ(プロフ) - キスマイさん» うわーーん嬉しいです。いつも丁寧に読んで下さって本当に有難うございます。その上温かいコメントまで。毎回励まされ勇気づけられているんですよ。ちょっと挫けそうなくらい暗い展開が続きますが、最後までお付き合い下さったら嬉しいです^^ (2017年7月8日 13時) (レス) id: 0880e3292b (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - sioriさん» ラストに近づくとしんどくなって書くのが遅くなる私の悪い癖が;;;;頑張ります、頑張って次は明るいお話しを書きますよ←本当かい(笑) (2017年7月8日 13時) (レス) id: 0880e3292b (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - みきさん» 嬉しいお言葉有難うございます。自分でも続きを書いていてあまりに堂々巡りで嫌になってしまうんですが、そう言って頂けると勇気が出ます(単純)不完全な3人が悩みに悩んで出す結論をどうか見守って下さい。読んで下さり有難うございます^^ (2017年7月8日 13時) (レス) id: 0880e3292b (このIDを非表示/違反報告)
キスマイ(プロフ) - 何度もすみません。読み終わるたびに、毎回お星様の一番右をポチッと押してしまうくらい、この作品が大好きです! (2017年7月4日 13時) (レス) id: ecf182a48a (このIDを非表示/違反報告)
キスマイ(プロフ) - (続きです)応援しています。みっくんの結婚した事実を知ることはあるのか、知ったらどうするのか、どっちを選ぶのか、選ばないのか、いろいろ考えながらとても楽しみにしています。素敵な作品を読めて幸せです! (2017年7月4日 13時) (レス) id: ecf182a48a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ましろ | 作成日時:2017年5月23日 17時

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