予期せぬ再会 F ページ33
Aの温もりと静かな寝息に癒されて眠る日々。
これが永遠に続けばいいのに。
いつか冷める夢なら、このまま夢の世界にA閉じ込めてしまいたくなる。
愛の鎖に繋いで─
真夜中に鳴り続ける携帯電話。
Aの方が先に目が覚め、
「藤ヶ谷さん、携帯鳴ってます...」
俺を起こす。
こんな夜中に誰...
覚醒しきらない頭でヘッドボードに置いてある携帯に手を伸ばし、画面を見ると父親からだった。
真夜中の家族からの連絡なんて、緊急時しか考えられない。
嫌な予感がした。
「もしもし...」
「太輔、母さんが救急車で病院に運ばれた」
俺は飛び起きた。
*
急いで支度をする俺をAが手伝ってくれる。
「Aはこの部屋で俺を待ってて。週末だけど帰らないで、お願い。ここにいて」
不安で押し潰されそうなのに、Aが待っていてくれなかったらどうにかなりそうで。
今日は土曜日だから仕事は休みだ。
先週末は自分の家が気になるからと言って、昼間Aは家に帰っている。
だけど。
「分かりました、待ってます」
俺の心情を慮ってか、Aが優しく微笑んだ。
車を30分程走らせ病院へ到着した。
母さんが運ばれた病院は救命救急や高度先進医療のある有名な病院だった。
「父さんっ」
夜間入り口から中へ入ると、既に父さんと2人の弟が俺のことを待っていた。
「心筋梗塞で倒れたんだ。今集中治療室で処置してる」
「助かるんだよね?」
一番訊きたいことはそこだった。父が何度も頷く。
「発見が早かったから大丈夫だそうだ。容態が落ち着いたら改めて大がかりな手術をするから、しばらく入院になるけれど」
「良かった...」
俺は両手で顔を覆った。
4人で眠れない夜を明かした。
母親が集中治療室から出てきたのは朝の9時過ぎだった。
麻酔でまだ眠ってはいたが、生きている顔を見れてやっと安堵する。
病室には俺が付いてるから少し休んでこいと父に言われ、煙草を吸いに外へ出た時だった。
北山...?
後ろ姿が北山に良く似た男が、車椅子を押して中庭の方へ歩いて行く。
間違いない、北山だ。
じゃあ、あの車椅子は、瑞希?
心臓がドクンと波打った。
今更瑞希に対してなんの特別な感情もない。
けれど目の前にいると分かれば、今の姿を少し見てみたい気にはなった。
それだけ過去になったんだ。
北山にはあんなことを言ったけれど、何故入院しているのか、全く気にならないわけではなかった俺はそっと後ろから近付いた。
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ましろ(プロフ) - キスマイさん» うわーーん嬉しいです。いつも丁寧に読んで下さって本当に有難うございます。その上温かいコメントまで。毎回励まされ勇気づけられているんですよ。ちょっと挫けそうなくらい暗い展開が続きますが、最後までお付き合い下さったら嬉しいです^^ (2017年7月8日 13時) (レス) id: 0880e3292b (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - sioriさん» ラストに近づくとしんどくなって書くのが遅くなる私の悪い癖が;;;;頑張ります、頑張って次は明るいお話しを書きますよ←本当かい(笑) (2017年7月8日 13時) (レス) id: 0880e3292b (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - みきさん» 嬉しいお言葉有難うございます。自分でも続きを書いていてあまりに堂々巡りで嫌になってしまうんですが、そう言って頂けると勇気が出ます(単純)不完全な3人が悩みに悩んで出す結論をどうか見守って下さい。読んで下さり有難うございます^^ (2017年7月8日 13時) (レス) id: 0880e3292b (このIDを非表示/違反報告)
キスマイ(プロフ) - 何度もすみません。読み終わるたびに、毎回お星様の一番右をポチッと押してしまうくらい、この作品が大好きです! (2017年7月4日 13時) (レス) id: ecf182a48a (このIDを非表示/違反報告)
キスマイ(プロフ) - (続きです)応援しています。みっくんの結婚した事実を知ることはあるのか、知ったらどうするのか、どっちを選ぶのか、選ばないのか、いろいろ考えながらとても楽しみにしています。素敵な作品を読めて幸せです! (2017年7月4日 13時) (レス) id: ecf182a48a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ましろ | 作成日時:2017年5月23日 17時