甘い時間 ページ27
緊張は既にピークに達していた。
シャワーを浴びに行った藤ヶ谷さんをリビングのソファーに座って待っている間、心臓はドキドキと波打ち、今にも爆発しそうで。
こんな状態で藤ヶ谷さんと添い寝したらどうなっちゃうんだろう。
いっそ気絶したいくらい...
ただの添い寝と言っても、小さな子と添い寝するのとは訳が違う。
相手は立派な成人男性で、会社の直属の上司で。
恋人でも何でもないのに、同じ部屋で同じベッドで寝るなんて冷静に考えれば絶対に有り得ないシチュエーションで。
だからこそどうしたらいいのか分からずに不安になる。
どんな顔して、何を話して、どこまで寄り添えばいいのか。
すっぴん顔を晒し、ナイトウェアを着てソファーに座っている自分が今更ながら消えてしまいたいくらい恥ずかしくて仕方がなかった。
「お待たせー」
不意にリビングのドアが開き、濡れた髪をタオルで拭きながら、バスローブ姿の藤ヶ谷さんが部屋に入ってきた。
あまりに似合っていて、思わず見惚れていると、藤ヶ谷さんが私を見てふっと笑った。
部屋のインテリアと相まって、まるでホテルのスイートルームにいるような気分になる。
「A、髪乾かして?」
「は、はい」
さっき自分が使わせてもらったドライヤーを手にすれば、藤ヶ谷さんが私の前に膝を抱えてちょこんと座り込んだ。
「A、緊張してる?」
「してますとっても」
「ふはっ、可愛いね」
「甘い雰囲気作らないで下さいっ」
「ははっ、何もしないから甘えるのはいいでしょ」
藤ヶ谷さんがくるっと向きを変え、ソファーに座っていた私の膝の上に頭をコテンと乗せる。
「撫でて?頭」
私の反応を完全に面白がっている藤ヶ谷さんはとても楽しそうで。
それは会社で見せる、仕事の出来る紳士な藤ヶ谷さんよりもずっと幼く、子供っぽくて。
「Aの手、気持ちい」
ふいに下から見つめられ、心臓が跳ね上がる。
「ふふ、A、顔真っ赤ー」
「藤ヶ谷さん、楽しんでますね?」
「楽しんでない。甘えてるだけー」
気持ち良さそうに目を細め、傷を庇うようにクックッと笑う藤ヶ谷さん。
その笑顔が見れるならイジられてもいいかなと思ってしまう自分は、既に藤ヶ谷さんのペースにはまっているのだろう。
「今日はたくさん眠れそう」
不意に藤ヶ谷さんがぽつりと呟く。
「そろそろベッド行こうか」
優しく低い甘い声で誘われ、目眩がした。
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ましろ(プロフ) - キスマイさん» うわーーん嬉しいです。いつも丁寧に読んで下さって本当に有難うございます。その上温かいコメントまで。毎回励まされ勇気づけられているんですよ。ちょっと挫けそうなくらい暗い展開が続きますが、最後までお付き合い下さったら嬉しいです^^ (2017年7月8日 13時) (レス) id: 0880e3292b (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - sioriさん» ラストに近づくとしんどくなって書くのが遅くなる私の悪い癖が;;;;頑張ります、頑張って次は明るいお話しを書きますよ←本当かい(笑) (2017年7月8日 13時) (レス) id: 0880e3292b (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - みきさん» 嬉しいお言葉有難うございます。自分でも続きを書いていてあまりに堂々巡りで嫌になってしまうんですが、そう言って頂けると勇気が出ます(単純)不完全な3人が悩みに悩んで出す結論をどうか見守って下さい。読んで下さり有難うございます^^ (2017年7月8日 13時) (レス) id: 0880e3292b (このIDを非表示/違反報告)
キスマイ(プロフ) - 何度もすみません。読み終わるたびに、毎回お星様の一番右をポチッと押してしまうくらい、この作品が大好きです! (2017年7月4日 13時) (レス) id: ecf182a48a (このIDを非表示/違反報告)
キスマイ(プロフ) - (続きです)応援しています。みっくんの結婚した事実を知ることはあるのか、知ったらどうするのか、どっちを選ぶのか、選ばないのか、いろいろ考えながらとても楽しみにしています。素敵な作品を読めて幸せです! (2017年7月4日 13時) (レス) id: ecf182a48a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ましろ | 作成日時:2017年5月23日 17時