逆転 F ページ18
「A...か?」
北山の瞳が頼りなげに揺らめいた。
誰が見ても分かるほどの腫れぼったい目と隈。
それはAも同様だったから、昨夜の2人に何があったのはおおよそ想像ついた。
それでも俺は北山の口からはっきり訊きたかった。
「そうだよ、Aだよ」
もうお前のものじゃないと北山にはっきり知らしめる為にも。
「なぁ北山、Aと別れた?」
北山が眉間に皺を寄せ俺を見る。
「別れた?」
「....ああ」
言いにくそうに俯いて掠れた声で答える北山に、俺の口角は上がった。
「2度とAに近付くな」
「藤ヶ谷、お前、本当に本気なの...か?」
「は?それどういう意味」
「もし俺への、報復、とかだったら─」
何言ってんだ、こいつ。
頭の中で何かがプツッと切れる音がした。
散々自分勝手に、好き勝手にやってきて、今更報復を恐れてんのかよ。
そんな自覚があるなら、何故俺から瑞季を奪った?
何故瑞季を裏切った?
なんでAを傷付けた?
だから俺はお前が嫌いなんだよ。
加害者のくせに被害者面してずっと生きてるお前が。
「報復?何言ってんの?俺が何もしなくたってお前らは勝手に壊れただろ。人のせいにしてんじゃねーよ」
「ち、違うっ、俺はただこれ以上Aは傷つくのはってっ」
「どの口がんなこと言ってんだよっ」
お前が一番Aを傷つけたくせに。
Aだけじゃない。
俺も、瑞季も、皆お前によって傷つけられたのに。
「とにかく俺は本気だから。それだけは伝えておこうと思って」
俺の言葉に、北山が目を真っ赤にして唇を噛み締めた。
先に給湯室を出てエレベーターを待っていると、下の階から上がってきたエレベーターが開き、
「A」
「藤ヶ谷さんっ、あ、もう会議終わりました?実は今急なお客様がいらして、藤ヶ谷さんを探しに来たんです」
俺の顔を見てほっとしたように言うA。
「何処かで具合悪くしてるんじゃないかと心配しましたよ」
「A...ちょっと俺のこと支えてくんない?立ってるのしんどくて」
そう言えば、Aは疑いもせず慌てて俺の傍に詰め寄った。
もうすぐ北山も来るはず...
子供じみた意地悪でしかないことぐらい理解ってる。
それでもこの先、Aに触れることが出来るのは俺なんだと北山に見せつけたかった。
後ろから足音が近付いてくる。
俺はAの身体を真正面から抱きしめた。
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ましろ(プロフ) - キスマイさん» うわーーん嬉しいです。いつも丁寧に読んで下さって本当に有難うございます。その上温かいコメントまで。毎回励まされ勇気づけられているんですよ。ちょっと挫けそうなくらい暗い展開が続きますが、最後までお付き合い下さったら嬉しいです^^ (2017年7月8日 13時) (レス) id: 0880e3292b (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - sioriさん» ラストに近づくとしんどくなって書くのが遅くなる私の悪い癖が;;;;頑張ります、頑張って次は明るいお話しを書きますよ←本当かい(笑) (2017年7月8日 13時) (レス) id: 0880e3292b (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - みきさん» 嬉しいお言葉有難うございます。自分でも続きを書いていてあまりに堂々巡りで嫌になってしまうんですが、そう言って頂けると勇気が出ます(単純)不完全な3人が悩みに悩んで出す結論をどうか見守って下さい。読んで下さり有難うございます^^ (2017年7月8日 13時) (レス) id: 0880e3292b (このIDを非表示/違反報告)
キスマイ(プロフ) - 何度もすみません。読み終わるたびに、毎回お星様の一番右をポチッと押してしまうくらい、この作品が大好きです! (2017年7月4日 13時) (レス) id: ecf182a48a (このIDを非表示/違反報告)
キスマイ(プロフ) - (続きです)応援しています。みっくんの結婚した事実を知ることはあるのか、知ったらどうするのか、どっちを選ぶのか、選ばないのか、いろいろ考えながらとても楽しみにしています。素敵な作品を読めて幸せです! (2017年7月4日 13時) (レス) id: ecf182a48a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ましろ | 作成日時:2017年5月23日 17時