ETERNAL

ーThree years laterー T ページ50

「裕太、怖い顔してる」

Aに引き寄せられて、はっと現実に戻るオレ。

オレは慌てて首を振った。

「娘の幸せも太輔の幸せも、他の誰にもどこにあるかなんて分からないし、ちゃんと２人は自分で見つけるはずよ」

Aはオレの考えていたことなどお見通しなのだろう。

子供の頃から大人の社会で必死に生きてきたAの言葉は、いつだって重みがあって、力強くて、潔くて。

「だといいな」

どうか早く見つけられますように。

ガヤの幸せの場所。

願うことしか出来ない自分がもどかしかった。



ーThree years laterー

「たーしゅけ、たーしゅけ、ねーパパ、たーしゅけどこ？」

涙を目にいっぱい浮かべてオレに訊く娘。

「たいすけおじちゃんはトイレ。すぐ戻ってくるよ」

「おじちゃんじゃないよー。おにいちゃんよう」

オレをキッと睨んで抗議する娘。

なにこれ。

恋だよね、これ完全に恋してるよね、ガヤに。

「あー！たーしゅけいたーー！」

リビングに戻ってきたガヤに抱きつく娘。

「ははっ。れん寂しかった？」

ガヤが娘の蓮華を抱き上げる。

ほんっとやってらんない。
オレの居場所全くないし。

「拗ねないの」

キッチンから昼食の用意をしていたAが戻ってくる。

「ユウだってさ、最近友達の家ばっかり遊びに行っちゃうし。寂しいよ」

「じゃあもう一人作る？」

Aの言葉にそれもいいかもと本気で思う。

「次の子はオレの彼女にしてやる」

「裕太の彼女はあたしだけ」

真面目に返されて、途端に機嫌良くなるオレ。

「単純」

ボソッとガヤに言われて顔が熱くなった。

聞いてたのかよ。

「ねーママ、おなかしゅいたー」

「ねーママ、たーしゅけもお腹空いたー」

ガヤが娘の真似して口を尖らす。

れんの真似したって可愛く..なくもないけど。

「今用意するね」

Aが再びキッチンへ戻り、オレはダイニングテーブルに座ってガヤとれんを眺める。

陽当たりのいい窓際で一生懸命積み木で何かを作っている二人。

「ここが、たーしゅけとれんのお部屋ね」

って、新居作ってんのかよ。

「パパー、今日たーしゅけはれんと寝るの。一緒にお風呂入ってれんのお布団かしてあげるー」

Aはキッチンで堪えきれずに吹き出しているが、オレは頭がクラクラしてきたよ。

ガヤまでしれっと、

「一緒に寝ようねー」

れんと額と額をくっつけて見つめ合っている。

これは12年後が本当に怖いな。

まぁガヤとれんが幸せならいいけどさ。


fin.

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