3年ぶり T ページ39
「ちょっと裕ちゃん、なんでこんなところに来たの!」
オカマバーsweetの店のドアを3年ぶりに開ければ、カウンターの奥にいた3年前と全く変わらぬ姿のマスターが、オレの姿を見るなり驚いて飛んできた。
「早く入って。誰かに見つかったら大変。店の奥に行って」
オレの背中を押すマスターの慌てぶりに、オレは苦笑して、
「大丈夫だよ。この店に来るくらいバレるくらい、オレはいいよ」
まー、そもそもそんなに有名じゃないしね。
ぼそっと呟いたら、マスターに頭を小突かれた。
「イケメンモデルが何言ってるのよ」
「マスター、裕ちゃんの出てる雑誌全部買ってるんだよ。マスターが布教するから、店の女の子達もモデル裕太のファンが多いんだから」
店で働く女の子風男子が、オレにこっそり耳打ちしてくる。
この店のもう1つの仕事のバイトを卒業して大分経つけれど、こうして今も温かい雰囲気で迎え入れてくれることが、オレはとても嬉しかった。
「ありがとう」
オレは素直にお礼を言った。
「今の万屋の売れっ子は風磨と健人よ」
店の奥の休憩室では高校か大学生くらいの男子が2人楽しそうにふざけあっている。
オレがその2人に会釈すると、2人も会話を止めて会釈を返した。
「あなた達の前にエースだった裕太よ。今は売れっ子モデル。イケメンでしょ」
マスターの紹介にオレはかぶりを振った。
イケメン度合いなら目の前にいる2人の方がよっぽどイケメンだったから。
「仕事は楽しい?」
オレが訊くと、健人と風磨が頷いた。
オレとガヤもこんな感じだったのかな。
誰かを救うことで自分の存在意義を見いだしていたあの頃。
オレ達と関わった女性全てが幸せに生きていればいいなと思う。
この2人にもきっと色々なことがあるだろう。
「で、急な来訪は一体どういうこと?もうここに戻ってきたらダメって言ったのに」
マスターは一度陽の当たる場所で生き始めた人間が、再びこの世界に引きずられることをとても不安がっていた。
「そういう子ってたくさんいるから」
「オレは大丈夫だよ」
オレはマスターを安心させるよう笑った。
「今日来たのは、実はこの間Aさんに会ったからなんだ」
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ayachoko(プロフ) - ましろさん» 初期でこんな面白いのかけるんですか( ; ゜Д゜)サディスティックLOVEを読んだ時から思ってました(*^^*)なんか男性の狡さとか女性の男性受けする立ち振舞いとかわかっててすごいなぁと思ってまして…(’-’*)今のましろさんが書く玉ちゃん、読みたいです(*≧∀≦*) (2017年5月12日 23時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - ayachokoさん» ぎゃあ、初期の作品クサすぎて(爆)読まれるの恥ずかしいです;;わ、分かりますか?遥か昔、ちょっとだけ夜の世界にいたことあります(笑)ayachokoさんに言われてまた玉ちゃんも書いてみたいなぁってちょっと思いました♪ (2017年5月12日 20時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - そして玉ちゃんかっこいい!!(*≧∀≦*)ましろさんの書く藤北玉はみんな素敵すぎて選べませんっ←違う 続き気になって止まらなくて、今からご飯慌てて作りますっ(笑) (2017年5月12日 17時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - 途中すごく切なかったけど最後には幸せになれて安心しました!ふふっと笑っちゃうシーンもあって面白かったです(о´∀`о)ましろさんは夜の世界で働いてたことがあるんですか?すごくリアルだなぁと思いまして…ましろさんの作品の女の子はみんな素敵できゅんとします♪ (2017年5月12日 17時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - まなさん» わーん、そんなことを言って頂けるなんてとっても嬉しいです;;昔の作品は特殊なのばかりでとても恥ずかしいのですが、最後まで読んで下さってとっても嬉しいです。(*'人'*)(*'人'*)ありがとうございます^^ (2016年11月3日 16時) (レス) id: 92cf8dd04d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ましろ | 作成日時:2015年11月8日 14時