運命の赤い糸は T ページ38
「タマは今恋人いねーの?」
ガヤが唐突に話題がを変える。
オレがあの頃の思い出を結構大事にしているのとは違い、ガヤの方はあまり過去を振り返るのを好ましく思ってはいないようだった。
「いるけど」
「けど、程度なわけね」
「いや、好きだけど」
「けど何だよ」
ガヤが噴き出した。
「運命の赤い糸ってよく言うけどさ、出逢いなんて無数に転がってるし、どれを手繰り寄せるかなんてくじみたいなもんだよな」
ガヤの冷めたような言葉が意外すぎて、オレは少しびっくりした。
「花音ちゃんと上手くいってるんだよね?」
「いってるよ。向こうはどう思ってるかわかんねーけど」
ガヤだって「けど」って言ってるし。
オレのこと言えねーじゃん。
そんなオレの不満げな様子に気づいたガヤが、笑いながらかぶりを振った。
「ごめん、俺、ちょっと荒んでるかも」
「何かあった?」
「んー、未来が見えないって感じ?」
確かに未来がどうなるかは誰にも分からない。
でも恋人との未来が見えなかったら、それってもう...
「オレは運命の赤い糸ってあると思うよ」
オレの言葉にガヤが意外そうな顔をした。
「無数の可能性があるようだけど、何度人生をやり直せたとしても、実はやっぱりこの道しか進めなかったってなる気がする。それが運命じゃない?」
「なるほど。そういう考えもあるか」
感心したように頷くガヤ。
「ガヤと会うと独りじゃない気がしてほっとするよ」
別れ際、ガヤにそう言ったら、
「タマ、お前酔ってるだろ。一生側にいてやるから安心しなさい」
ガヤが笑って、オレの肩をぽんと叩いた。
「何かあったらまた連絡して」
「うん」
別れる瞬間がこんなに寂しくなるのはガヤの時だけだ。
孤独で辛かった時期を一緒に乗り越えてきたからなのかもしれない。
多忙な両親の元に育ったガヤと、早くに両親が亡くなったオレは、家族よりも家族のように、兄弟というより半身のように一緒に生きてきたから。
そしてAとの出逢いと別れ。
その後のオレ達は、まだ出逢えていないんだろうか。
運命の人に。
それともやっぱりA、なんだろうか。
オレにとってもガヤにとっても。
今の彼女に失礼なことを思っているのは十分承知だが、ガヤと同じでオレは彼女との未来が全く想像できなかった。
結局生まれてから今まで、誰かを好きなったのはたった1度だけなのだろう。
昔から変わらない冷めた性格が時々本当に嫌になる程──
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ayachoko(プロフ) - ましろさん» 初期でこんな面白いのかけるんですか( ; ゜Д゜)サディスティックLOVEを読んだ時から思ってました(*^^*)なんか男性の狡さとか女性の男性受けする立ち振舞いとかわかっててすごいなぁと思ってまして…(’-’*)今のましろさんが書く玉ちゃん、読みたいです(*≧∀≦*) (2017年5月12日 23時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - ayachokoさん» ぎゃあ、初期の作品クサすぎて(爆)読まれるの恥ずかしいです;;わ、分かりますか?遥か昔、ちょっとだけ夜の世界にいたことあります(笑)ayachokoさんに言われてまた玉ちゃんも書いてみたいなぁってちょっと思いました♪ (2017年5月12日 20時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - そして玉ちゃんかっこいい!!(*≧∀≦*)ましろさんの書く藤北玉はみんな素敵すぎて選べませんっ←違う 続き気になって止まらなくて、今からご飯慌てて作りますっ(笑) (2017年5月12日 17時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - 途中すごく切なかったけど最後には幸せになれて安心しました!ふふっと笑っちゃうシーンもあって面白かったです(о´∀`о)ましろさんは夜の世界で働いてたことがあるんですか?すごくリアルだなぁと思いまして…ましろさんの作品の女の子はみんな素敵できゅんとします♪ (2017年5月12日 17時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - まなさん» わーん、そんなことを言って頂けるなんてとっても嬉しいです;;昔の作品は特殊なのばかりでとても恥ずかしいのですが、最後まで読んで下さってとっても嬉しいです。(*'人'*)(*'人'*)ありがとうございます^^ (2016年11月3日 16時) (レス) id: 92cf8dd04d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ましろ | 作成日時:2015年11月8日 14時