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愛している F ページ33

俺達は真っ直ぐ家に帰りたくなくて、夜のレインボーブリッジを歩いていた。

「ここは健全で幸せな恋人達がいっぱいいるね」

Aが周りを見渡して、ぽつりと呟く。

「皆が健全で幸せかは分かんないよ」

「あたし達みたいに?」

「おれらは健全で幸せじゃん」

俺が答えると、Aが嬉しそうに笑った。

「太輔はどうせこういうデートはし慣れてるだろうけど、あたしは初めてだからドキドキする」

俺の腕に腕を絡ませるAは本当に楽しそうで、俺も嬉しくなる。

「さすがに夜のレインボーブリッジを歩くデートは俺も初めてだわ。意外と楽しいね」

こんな定番な場所も、Aと一緒だから楽しく感じているのかもしれないけれど。

今の俺達は明らかにテンションが高かった。

何気ないことで笑い、抱き合い、キスをして。

誰が見ていようと別に構わなかった。

今この瞬間だけは、本当の幸せな恋人同士でいたかったから。

「都会の夜景は勇気をくれるから、太輔と最後にここに来れて良かった」

「勇気?」

「この光の中でたくさんの人が生きていて、泣いて、悲しんで、笑ってるんだって思うと、自分だけが苦しいわけじゃないんだって思うから」

Aが俺の顔を愛おしそうに見つめる。

「太輔」

「....だ」

嫌だ。嫌だ。

聞きたくない。

俺は怖くて目をぎゅっと瞑った。

「今の世界で充電したらちゃんと戻って、太輔が生きる本来の世界に。約束して」

Aが俺の身体を優しく抱きしめる。

「今まで本当にありがとう。家族よりも大切な太輔の幸せをずっと願ってるからね」

「そんなの...」

願って貰わなくたっていい。

だけど声は掠れて、言葉にならなかった。

俺の目から涙が零れ落ちる。

誰かの前で泣いたのなんて、物心ついてから初めてのことだった。

俺は子供のようにAにしがみついた。

身を切られるように辛くて、痛くて、苦しくて。

どうして。

どうしてこんな出会い方しかなかったのだろう。

どうしてこんなにも好きになってしまったんだろう。

「愛してる...」

ずっと長い間、心の奥底に閉じ込めていた言葉を俺は初めて解放した。

「愛してる」

やっと、やっと伝えることができた。

Aが優しく俺の背中を撫でる。

生まれて初めて恋をして、生まれて初めて愛した人。

どうかAが独りで泣く日がなくなりますように。

眠れない夜に怯えずに済む日が来ますように。

俺は初めて見たこともない神様に向かって祈った。

彼女の幸せを。

最後の依頼 T→←別れの理由 F



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ayachoko(プロフ) - ましろさん» 初期でこんな面白いのかけるんですか( ; ゜Д゜)サディスティックLOVEを読んだ時から思ってました(*^^*)なんか男性の狡さとか女性の男性受けする立ち振舞いとかわかっててすごいなぁと思ってまして…(’-’*)今のましろさんが書く玉ちゃん、読みたいです(*≧∀≦*) (2017年5月12日 23時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - ayachokoさん» ぎゃあ、初期の作品クサすぎて(爆)読まれるの恥ずかしいです;;わ、分かりますか?遥か昔、ちょっとだけ夜の世界にいたことあります(笑)ayachokoさんに言われてまた玉ちゃんも書いてみたいなぁってちょっと思いました♪ (2017年5月12日 20時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - そして玉ちゃんかっこいい!!(*≧∀≦*)ましろさんの書く藤北玉はみんな素敵すぎて選べませんっ←違う 続き気になって止まらなくて、今からご飯慌てて作りますっ(笑) (2017年5月12日 17時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - 途中すごく切なかったけど最後には幸せになれて安心しました!ふふっと笑っちゃうシーンもあって面白かったです(о´∀`о)ましろさんは夜の世界で働いてたことがあるんですか?すごくリアルだなぁと思いまして…ましろさんの作品の女の子はみんな素敵できゅんとします♪ (2017年5月12日 17時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - まなさん» わーん、そんなことを言って頂けるなんてとっても嬉しいです;;昔の作品は特殊なのばかりでとても恥ずかしいのですが、最後まで読んで下さってとっても嬉しいです。(*'人'*)(*'人'*)ありがとうございます^^ (2016年11月3日 16時) (レス) id: 92cf8dd04d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ましろ | 作成日時:2015年11月8日 14時

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