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もっと甘えて F ページ30

「たい...すけ...起きてるの?」

掠れた声でAが俺を呼ぶ。

「うん、Aさんを抱いて眠るの久しぶりだからさ、何だか嬉しくて眠るのがもったいなくて...」

俺が笑うと、Aが俺の腕の中で身動ぎして、俺の顔に細い腕を伸ばす。

「ばかね」

あたしをこんなに甘やかすのは太輔ぐらいよ。

そして、俺の頬を両手で挟み、ゆっくりと顔を近づけると、俺の唇を優しく食む。

何度も食まれ、吸われ、甘い息が零れる。

「ん、ハァ...俺、そんな甘やかしてる?」

裕太とどっちが?

思わずそう訊きたい衝動を抑えて訊けば、

「自分じゃ何もできないダメな女になりそうなくらい甘やかされてる...」

また、ちゅっと音を立ててキスされる。

「ふはっ、大袈裟だろ、それ」

「大袈裟じゃないってば。太輔からはいつも優しさいっぱい貰って、甘やかされてるもん」

「何だよ、嫌なの?」

「ん...あんまり甘やかされると、独りで立っていられなくなりそうで」

怖くなっちゃうから。

最後の一言は独り言のように小さく呟かれたものだったが、俺は聞き逃さなかった。

Aがそんな風に俺のことを思っていたなんて正直驚きだった。

「ダメな女になればいいじゃん。Aさんはもっと甘えて頼って寄りかかっていいんだって。ガキの俺がそんなこと言ってって思うかもしれないけど、でも俺はもっとAさんに頼られたいし、甘えられたいよ」

それは俺の本音だった。

ずっと一線引かれてる気がして寂しかった。

本当はもっと頼られたいのに。

あなたを守りたいのに。

あなたを傷つける全てのものから守ってあげたいのに。

それはただのエゴなんだろうか。

そんなことをAが望んでいないのは分かってる。

だけど。

見たこともない、小さい頃のAが脳裏に浮かぶ。

帰ってこない母親をお腹を空かせて待ち続ける少女の姿が。

誰もいない真っ暗な部屋で独り膝を抱えて泣く少女の姿が。

その子の手を取って、

『王子様がもうすぐ迎えに来るから大丈夫だよ』

そう言ってあげることが出来たら、どんなにいいだろう。

もっともっと早くにAと出会いたかった。

早く出逢えたら、こんな関係じゃなくて、ちゃんと恋人同士になれたのかな、俺達。

俺はAの身体を抱きしめ、

「俺がいなきゃ生きていけない、ダメな女になっちゃえばいいのに」

願いを込めて呟く。

決して彼女がそうなることはないと理解っていながらも──

不倫相手 F→←最初の依頼 F



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ayachoko(プロフ) - ましろさん» 初期でこんな面白いのかけるんですか( ; ゜Д゜)サディスティックLOVEを読んだ時から思ってました(*^^*)なんか男性の狡さとか女性の男性受けする立ち振舞いとかわかっててすごいなぁと思ってまして…(’-’*)今のましろさんが書く玉ちゃん、読みたいです(*≧∀≦*) (2017年5月12日 23時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - ayachokoさん» ぎゃあ、初期の作品クサすぎて(爆)読まれるの恥ずかしいです;;わ、分かりますか?遥か昔、ちょっとだけ夜の世界にいたことあります(笑)ayachokoさんに言われてまた玉ちゃんも書いてみたいなぁってちょっと思いました♪ (2017年5月12日 20時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - そして玉ちゃんかっこいい!!(*≧∀≦*)ましろさんの書く藤北玉はみんな素敵すぎて選べませんっ←違う 続き気になって止まらなくて、今からご飯慌てて作りますっ(笑) (2017年5月12日 17時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - 途中すごく切なかったけど最後には幸せになれて安心しました!ふふっと笑っちゃうシーンもあって面白かったです(о´∀`о)ましろさんは夜の世界で働いてたことがあるんですか?すごくリアルだなぁと思いまして…ましろさんの作品の女の子はみんな素敵できゅんとします♪ (2017年5月12日 17時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - まなさん» わーん、そんなことを言って頂けるなんてとっても嬉しいです;;昔の作品は特殊なのばかりでとても恥ずかしいのですが、最後まで読んで下さってとっても嬉しいです。(*'人'*)(*'人'*)ありがとうございます^^ (2016年11月3日 16時) (レス) id: 92cf8dd04d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ましろ | 作成日時:2015年11月8日 14時

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