しないこと T ページ22
「ツキ・・大丈夫?」
Aの声は本当に心配そうで、オレはあまりの恥ずかしさに消えてしまいたくなる。
「ん、大丈夫...」
シングルベッドの中で2人、向かい合ってピッタリと寄り添っていれば、こうなることは容易に想像できたけれど。
もうちょっと耐えられなかったかな、オレ。
あまりにもすぐ反応して、めちゃくちゃ恥ずかしい。
Aの長い髪から香る甘くいい匂いと柔らかい胸の感触に、オレの理性はあっけなく撃沈していた。
引き寄せたAの細い腰に、オレの興奮が伝わっているのは間違いない。
「平常心、無理でした」
努めて明るく、茶化すように笑った。
仕事はきちんとまっとうしたかったし、Aに余計な気も遣わせたくなかったから。
「する?」
「しませんよ」
即答したオレに、Aが驚いた表情でオレを見る。
「でも...」
「添い寝の依頼、オレはちゃんとまっとうしたい。Aさんがそんなこと望んでないことぐらい分かってるし。オレのことは気にしないで、って言ってもちょっとその、無理かもだけど、でも気にしないで」
言いながらAの額にキスをすれば、Aがオレの首筋に顔を埋める。
Aの熱い息が鎖骨にかかって、気持ち良くも、苦しい。
「安心して、ぐっすり眠って欲しいんだよ、本当に」
「あたし、裕太なら別に構わないよ。裕太のこと好きだから」
裕太、と言い直して、好きだと言ってくれるAの気遣いはとても嬉しかったけれど。
「ダメだよ」
流されそうになる気持ちを必死に抑える。
「何か歌ってあげるよ。リクエストある?」
自分の興奮をどうにか紛らわせたくて、オレは話を変えた。
Aはしばらく悩んでいたけれど、
「Crescent moon、知ってる?」
有名な60年代の洋楽。
「知ってる。いいよ」
オレはAを抱きしめたまま、ゆっくりと歌い出す。
Only lonely moon be able to save me.
彼女の今を表しているかのような切ない歌詞。
やがて。
Aの寝息を確認出来たオレは、ほっと胸を撫で下ろした。
「おやすみ」
優しくそっと呟いて、目を閉じる。
いつの間にか部屋にはうっすらと朝日が差し込み始めていた。
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ayachoko(プロフ) - ましろさん» 初期でこんな面白いのかけるんですか( ; ゜Д゜)サディスティックLOVEを読んだ時から思ってました(*^^*)なんか男性の狡さとか女性の男性受けする立ち振舞いとかわかっててすごいなぁと思ってまして…(’-’*)今のましろさんが書く玉ちゃん、読みたいです(*≧∀≦*) (2017年5月12日 23時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - ayachokoさん» ぎゃあ、初期の作品クサすぎて(爆)読まれるの恥ずかしいです;;わ、分かりますか?遥か昔、ちょっとだけ夜の世界にいたことあります(笑)ayachokoさんに言われてまた玉ちゃんも書いてみたいなぁってちょっと思いました♪ (2017年5月12日 20時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - そして玉ちゃんかっこいい!!(*≧∀≦*)ましろさんの書く藤北玉はみんな素敵すぎて選べませんっ←違う 続き気になって止まらなくて、今からご飯慌てて作りますっ(笑) (2017年5月12日 17時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - 途中すごく切なかったけど最後には幸せになれて安心しました!ふふっと笑っちゃうシーンもあって面白かったです(о´∀`о)ましろさんは夜の世界で働いてたことがあるんですか?すごくリアルだなぁと思いまして…ましろさんの作品の女の子はみんな素敵できゅんとします♪ (2017年5月12日 17時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - まなさん» わーん、そんなことを言って頂けるなんてとっても嬉しいです;;昔の作品は特殊なのばかりでとても恥ずかしいのですが、最後まで読んで下さってとっても嬉しいです。(*'人'*)(*'人'*)ありがとうございます^^ (2016年11月3日 16時) (レス) id: 92cf8dd04d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ましろ | 作成日時:2015年11月8日 14時