ETERNAL

ヒマワリ T ページ17

「RoseのA？」

【Rose】ってこの界隈じゃ有名な高級クラブじゃなかったっけ。

「そこのナンバーワンホステスって...うわぁ」

子供どころか立派な大人じゃん。

しかもめちゃくちゃ美人、に見える写真。

こういう女性ってすっぴんが全く分からないくらい盛りまくりメイクな人が多いけれど、この写真を見る限り、そんなにこってり化粧をしているようには見えなかった。

ナンバーワンになるくらいだから、きっと本当に綺麗な人ではあるんだろう。

オレの背中に変な汗が流れ落ちる。

「大丈夫かな、オレ」

こんなガキなオレのどこら辺が適役なのか、ますますわかんないけど。

「亀梨さんとか赤西さんの方が適任じゃないの、これ」

書類と睨めっこしながら、オレは一人でぶつぶつ呟いた。

好きな花はヒマワリか。

へぇ薔薇とかじゃなくてヒマワリなんだ。なんか庶民的で可愛いじゃん。

記載されている全てのデータをオレは必死に覚える。

この仕事をするようになってから、少しずつ他人を喜ばせることが楽しくなってきてる自分がいる。

それまでは全く他人なんかに興味の欠片もなかったのに。

「ん？」

気になるデータを見つけた。

２週間前に飼い犬が病気で死亡。

そのことと不眠症は、関係があるのだろうか。

飼っていた犬と毎日一緒に寝ていたとすれば、あり得る話だ。

何となく見えてくる彼女の背景に、もう1つ重要なデータ。

既婚者の男性と不倫。

「なるほど...」

だから週末の依頼なのか。

家族の元へ帰る彼氏の代わりが必要だから。

「なんだかなぁ」

ここに依頼してくる人達は皆同じだ。

何かを抱えて生きている。

悲しみと寂しさを絶えず纏い、孤独すぎるほど孤独で。

偽物に頼らなければならないほど。

今の時期はちょうど夏だし、ヒマワリの花をたくさん買って手渡そう。

少しでも彼女が明るい気分になれるように。

オレはまだ見ぬ彼女の孤独を、少しでも癒してあげたいと思った。

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