バイトの話 F ページ12
店の中に入ると拍子抜けするぐらい普通のバーで。
中で働いてる女の子はFAKEも含め、皆綺麗でモデルも出来そうなくらいスタイルが良かった。
FAKEだと言われなければ、全く分からなかったかもしれない。
バーの一番奥のソファ席にAと座った俺はテーブルに並べられたマネキンマスターの手料理を御馳走になっていた。
「すっごい美味しいです」
ありきたりな感想しか出てこなかったが、それでも向かいに座っていたマネキンは満足気に微笑んだ。
オカマになる前は帝都ホテルのフレンチシェフをしていたという過去を持つマネキンのオカマバーは少しずつ口コミで知れ渡り、最近は普通に食事目当てだけで訪れる客も多いのだと言う。
「で、話を戻すけどマスター、この子が太輔くん。この間話した例の男の子」
「Aが裕太以外に気に入る若い男なんて珍しいことだからすごい興味あったけど」
なるほどねぇ。
マネキンが俺を食い入るように見つめる。
話が全く見えない俺は戸惑いながらも、黙って料理を食べ続けていた。
「見た目は文句なく合格でしょ。若いけど色気も男らしさもあるし、喋り方も落ち着いてる。彼の魅力はさりげない気遣いと優しさと、危うく繊細な色気」
Aが俺のことをそんな風に思っていたと知って驚き、嬉しくなった。
「裕太が聞いたら泣くわね」
「裕太はありのままが最大の魅力だから」
裕太、と言った時のAの表情が、あまりに柔らかく、愛おしそうで。
心の中がざわついた。
「合格よ。あとは本人次第ね。太輔ちゃん、食べ終わったら別室でバイトの説明したいから休憩室に来てちょうだい」
マネキンが突然そう言って席を立った。
「え?バイト?」
「太輔、マスターからバイト内容の説明を受けると思うけど、嫌なら勿論断ってくれて構わないからね。でもね、もしやってもいいなって思ったらやってみて。太輔にとても向いてると思うから」
Aの最後の一言が俺の心の奥に突き刺さる。
俺が向いてるバイト?
何1つ続かないこの俺が?
急にバイトの話になって正直面食らったけれど、Aに言うならと興味がわいたのも事実だった。
「分かりました。せっかくAさんが推薦してくれたなら、話聞いてきます」
食事をし終わった俺は、Aと別れて奥の休憩室へ向かった。
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ayachoko(プロフ) - ましろさん» 初期でこんな面白いのかけるんですか( ; ゜Д゜)サディスティックLOVEを読んだ時から思ってました(*^^*)なんか男性の狡さとか女性の男性受けする立ち振舞いとかわかっててすごいなぁと思ってまして…(’-’*)今のましろさんが書く玉ちゃん、読みたいです(*≧∀≦*) (2017年5月12日 23時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - ayachokoさん» ぎゃあ、初期の作品クサすぎて(爆)読まれるの恥ずかしいです;;わ、分かりますか?遥か昔、ちょっとだけ夜の世界にいたことあります(笑)ayachokoさんに言われてまた玉ちゃんも書いてみたいなぁってちょっと思いました♪ (2017年5月12日 20時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - そして玉ちゃんかっこいい!!(*≧∀≦*)ましろさんの書く藤北玉はみんな素敵すぎて選べませんっ←違う 続き気になって止まらなくて、今からご飯慌てて作りますっ(笑) (2017年5月12日 17時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - 途中すごく切なかったけど最後には幸せになれて安心しました!ふふっと笑っちゃうシーンもあって面白かったです(о´∀`о)ましろさんは夜の世界で働いてたことがあるんですか?すごくリアルだなぁと思いまして…ましろさんの作品の女の子はみんな素敵できゅんとします♪ (2017年5月12日 17時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - まなさん» わーん、そんなことを言って頂けるなんてとっても嬉しいです;;昔の作品は特殊なのばかりでとても恥ずかしいのですが、最後まで読んで下さってとっても嬉しいです。(*'人'*)(*'人'*)ありがとうございます^^ (2016年11月3日 16時) (レス) id: 92cf8dd04d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ましろ | 作成日時:2015年11月8日 14時