オカマバー F ページ11
「太輔?」
腕を絡めてきたAに、俺はびっくりしてAを見つめた。
「腕組むの嫌?」
不安そうにAが言う。俺は、慌ててかぶりを振って、
「違うよ。誰かに見られたらって」
この界隈、Aの馴染みのお客が歩いていたっておかしくない。
その人達がもしAと俺のことを見かけたりでもしたら、Aの売り上げに響くんじゃないかと心配で。
「そんなの全然平気よ。あたしは太輔が好きだから」
なのに、あっけからんと言うA。
そんな風に言われたら、勘違いしてしまいそうになる。
それはlike or love....?
子供じみたことを訊きたくなるのを必死で抑えて。
Aから仄かに漂う香りが甘く優しくて、俺は、Aをまた抱きしめたくなってしまう。
ずっとずっと抱きしめてたい...
外見の美しさだけじゃないAの魅力と自分の気持ちに、俺はいい加減気づいていた。
だけど、それはAには迷惑なことで...
気持ちを抑えるというのは、想像よりもずっと苦しいことだった。
*
「Aさん、バーってもしかしてオカマバーなんですか」
「もしかしなくてもオカマバーだけど、オカマって言わないであげてね。一応ここガールズバーだから。FAKEって書いてあるけどね」
くすくす笑いながらAがほら、と看板を指さした。
girls(FAKE) bar sweet
「あ、ほんとだ」
俺も思わず笑ってしまう。
「中には本当の女の子もいるのよ、それがこの店の売りなの」
そう言ってAがドアを開けようとした時、
ドアが開いて中からスキンヘッドの男が顔を覗かせた。
「あら、Aいらっしゃい。また今日は随分と若い男前な子を連れてるじゃないの」
化粧をバッチリ施した色白の長身スキンヘッド男が、俺を見て嬉しそうな声を上げた。
この男何かに似てるな、何だろ...
「マネキンだ」
心の中で叫んだつもりが声に出てしまった。
「誰がマネキンだって?」
途端にドスの聞いた声が聞こえて、
「あ、いや。すごいスタイルいいなって思って、それで」
慌てて取り繕う俺にマネキンはふん、と鼻を鳴らした。
「よく言われます。てかあなた本当にイケメンね。店の女の子達にトイレで喰われないように気をつけなさいね」
冗談とも本気ともつかない台詞に、不安になる俺を見たAが、
「大丈夫よ、太輔はあたしが守ってあげるから」
もっと恐ろしくなるようなことを言って、くすくすと笑った。
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ayachoko(プロフ) - ましろさん» 初期でこんな面白いのかけるんですか( ; ゜Д゜)サディスティックLOVEを読んだ時から思ってました(*^^*)なんか男性の狡さとか女性の男性受けする立ち振舞いとかわかっててすごいなぁと思ってまして…(’-’*)今のましろさんが書く玉ちゃん、読みたいです(*≧∀≦*) (2017年5月12日 23時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - ayachokoさん» ぎゃあ、初期の作品クサすぎて(爆)読まれるの恥ずかしいです;;わ、分かりますか?遥か昔、ちょっとだけ夜の世界にいたことあります(笑)ayachokoさんに言われてまた玉ちゃんも書いてみたいなぁってちょっと思いました♪ (2017年5月12日 20時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - そして玉ちゃんかっこいい!!(*≧∀≦*)ましろさんの書く藤北玉はみんな素敵すぎて選べませんっ←違う 続き気になって止まらなくて、今からご飯慌てて作りますっ(笑) (2017年5月12日 17時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - 途中すごく切なかったけど最後には幸せになれて安心しました!ふふっと笑っちゃうシーンもあって面白かったです(о´∀`о)ましろさんは夜の世界で働いてたことがあるんですか?すごくリアルだなぁと思いまして…ましろさんの作品の女の子はみんな素敵できゅんとします♪ (2017年5月12日 17時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - まなさん» わーん、そんなことを言って頂けるなんてとっても嬉しいです;;昔の作品は特殊なのばかりでとても恥ずかしいのですが、最後まで読んで下さってとっても嬉しいです。(*'人'*)(*'人'*)ありがとうございます^^ (2016年11月3日 16時) (レス) id: 92cf8dd04d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ましろ | 作成日時:2015年11月8日 14時