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太輔との出逢い ページ1

何て優しくて可愛い笑顔。

出勤前、恒例の営業電話とメールも一通り済み、行きつけのカフェを出た途端、あたしは道の端にしゃがみ込んで子猫を愛しそうに撫でている若い男の子の存在に気づいた。

アジアで最大の歓楽街言われている新宿、歌舞伎町。

陽が暮れてしまえば治安が良いとは決して言えないが、昼間は喧騒とは無縁の静かな路地裏。

そんな場所に似つかわしくない育ちの良さそうな子。

「何してるの?」

思わず声をかけてしまった。

クラブへの客引き、もしくは逆ナンと思われるかなとも思ったけれど、それならそれで別に構わない。そう思ったのは、単純に笑顔が好みだったせいかもしれない。

「え?」

誰かに声をかけられるとは思ってもいなかったのだろう。
びっくりした顔で少年が顔を上げた。

鼻筋の通った端正で綺麗な顔。

あたしは少年の隣にしゃがみこんだ。

「わーこの子まだ子猫なんだね。可愛い」

「目が合ったらずっと俺の後ついてきちゃって、離れてくれなくて」

人混みの中で踏まれたら大変だと思って路地裏まで避難したんだけど。

困ったように言う少年に、

「一目惚れされちゃったみたいね、この子女の子だもの」

「え、まじ?」

どうしよう。家に連れて帰った方がいいのかな。けど俺猫飼ったことないんだけど大丈夫かな。

あたしの言葉に本気で悩み出す少年。

「大丈夫だよ。生きるも死ぬもそれはこの子の運命だから。野良でも生きる子はちゃんと生き抜くから。君が責任を感じることなんてないよ」

「でも...」

少年は膝の上に乗って甘えている子猫の背を撫でながら、

「出会ったのも運命だし、俺がこの子を生かす運命なのかもしれないし」

それに一目惚れとか言われたら男心がきゅんてしちゃったし。

照れくさそうな笑顔に、あたしの方がきゅんとなった。

「あの、初めて会った人に頼むことじゃないのは分かってるんだけど」

もし良かったらこの子を飼うための準備を一緒に色々してくれませんか?

唐突な申し出。

あたしは腕時計をチラッと見た。

「あ、予定ありますよね」

明らかに落胆した声で立ち上がる少年に、

「少しなら大丈夫。ちょっと前まで犬を飼ってたからここら辺の動物病院やペットショップは分かるし、少しは役に立てるかも」

気付けばそう答えていた。

同伴、キャンセルしなきゃ。

通常出勤なんていつ以来だろうか。

けれど仕方ない。

「やったー」

嬉しそうに笑う、この少年とまだいたいと思ってしまったのだから──

子猫との別れ F→



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ayachoko(プロフ) - ましろさん» 初期でこんな面白いのかけるんですか( ; ゜Д゜)サディスティックLOVEを読んだ時から思ってました(*^^*)なんか男性の狡さとか女性の男性受けする立ち振舞いとかわかっててすごいなぁと思ってまして…(’-’*)今のましろさんが書く玉ちゃん、読みたいです(*≧∀≦*) (2017年5月12日 23時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - ayachokoさん» ぎゃあ、初期の作品クサすぎて(爆)読まれるの恥ずかしいです;;わ、分かりますか?遥か昔、ちょっとだけ夜の世界にいたことあります(笑)ayachokoさんに言われてまた玉ちゃんも書いてみたいなぁってちょっと思いました♪ (2017年5月12日 20時) (レス) id: df578ce2f7 (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - そして玉ちゃんかっこいい!!(*≧∀≦*)ましろさんの書く藤北玉はみんな素敵すぎて選べませんっ←違う 続き気になって止まらなくて、今からご飯慌てて作りますっ(笑) (2017年5月12日 17時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ayachoko(プロフ) - 途中すごく切なかったけど最後には幸せになれて安心しました!ふふっと笑っちゃうシーンもあって面白かったです(о´∀`о)ましろさんは夜の世界で働いてたことがあるんですか?すごくリアルだなぁと思いまして…ましろさんの作品の女の子はみんな素敵できゅんとします♪ (2017年5月12日 17時) (レス) id: b1988500b3 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - まなさん» わーん、そんなことを言って頂けるなんてとっても嬉しいです;;昔の作品は特殊なのばかりでとても恥ずかしいのですが、最後まで読んで下さってとっても嬉しいです。(*'人'*)(*'人'*)ありがとうございます^^ (2016年11月3日 16時) (レス) id: 92cf8dd04d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ましろ | 作成日時:2015年11月8日 14時

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