検索窓
今日:9 hit、昨日:3 hit、合計:47,125 hit

出逢い ページ8

「失礼しま...あれ?」

保健室に入ると、見たことのない若い女の人がいたので、オレはもう1度入口を確認してしまった。

ここ、保健室で合ってるよな。

「どうぞ。入って」

「失礼しま...す」

おずおずと中に入れば、白衣姿でひっつめ髪で太い黒縁眼鏡をかけた女の人がオレの方を振り返る。

瞬間、息が止まった。

時間も。

嘘...だろ...

あの人にとても似ていた。

胸に激しい痛みが走る。

ずっと心の奥底に追いやっていた記憶が、突然甦ってオレは慌てて頭を振った。

他人の...空似....?


「正式な挨拶は2学期の始業式になるんだけど、
産休に入った吉岡先生の代わりに夏休みから養護教諭を務めている佐々木日向です。よろしくお願いします」

日向の挨拶で、はっと現実に引き戻された。

そうだった。

確かに一学期の終業式の時、吉岡先生が産休に入るって挨拶してた気がする。

日向先生の丁寧な挨拶に、オレもつられて、

「3年D組の二階堂 高嗣です。よろしくお願いします」

深々とお辞儀をした。

「二階堂くんは・・部活?」

「補講です」

恥ずかしいので、小さな声になってしまう。

日向がごめんなさい、と笑った。

「先生、熱があるっぽいんですけど」

保健室のソファに腰を下ろして言えば、日向がすぐ体温計を持ってきてくれた。

日向は忙しそうに書類を確認しながら動き回
っている。

化粧っけもなく、白衣を着て、ひっつめ髪で丸眼鏡かけてるけど、それでも美人なのが充分に分かる。

雑誌モデルみたいな人だった。

本当に似ている、あの人に。

熱を測りながらずっと日向を観察していると、体温計がピピッと鳴った。

「38度3分、思ったより熱高いね」

どうしようか、と日向がオレを見る。

「家に帰る?それとも家の人に迎えに来てもらう?」

「家は誰もいないんで、ちょっとここで休ませて貰ってもいいですか?」

「分かった、じゃああっちのベッドで少し休もうか」

「はい」

「もし熱が下がらなくて、どんどんしんどくなるようだったら、すぐ病院へ連れていくから言ってね」

日向がベッドの用意をしながら言ってくれた。

保健室のベッドで→←赤裸々な報告



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (127 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
169人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ましろ | 作成日時:2015年10月13日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。