突然の別れ ページ23
日向はいなくなった。
寒い別荘地で愛を確かめ合ってから間もなく冬休みに入り、それでもオレ達は時折携帯で連絡を取り合っていた。
なのに。
3学期初日に日向が病気療養を理由に学校を辞めたことを北山から聞かされて、オレは目の前が真っ暗になった。
想いが通じあったと単純に喜んでた自分が情けなくて恥ずかしかった。
オレは北山の前で子供みたいに泣いた。
最初から日向はオレを受け入れて消えるつもりだったんだと今更気づく。
オレのために?
朱里のために?
ひよりのために?
「日向はオレのこと好きじゃなかったのかな」
「好きだったと思うよ」
じゃなきゃ、お前に抱かれたりしなかったろうし、お前の前から消えたりしなかったんじゃないの?
北山がオレの頭を優しく撫でる。
「よく分かんねーよ、チャラみつの言ってること」
「もう少し大人になったら分かるよきっと」
好きだけじゃどうにもならない恋を。
相手のために身を引く恋もあるってことを。
「そんなの知りたくない」
オレは力なく呟いた。
別荘での一夜を思い出すだけで、今でも幸せで胸が震える。
なのに日向がその時別れをすでに覚悟していたのも知らず、舞い上がって日向を抱いていた自分は何て滑稽だっただろう。
日向、逢いたいよ。
逢いたいよ。
オレは心の中で叫ぶ。
神様、もう一度、彼女に逢わせて。
オレまだ伝えてないこといっぱいあるのに。
話したいこといっぱいあるのに。
黙って消えちゃうなんて酷いよ。
「チャラみつー、オレどうしたらいいの?」
涙が止まらない。
「生きてるなら会えるだろ、また」
北山が笑った。
「永遠の別れを経験したお前なら分かるよな。大丈夫、日向は生きてるんだから」
「うーー」
会えるかな、また。
ううん、絶対逢える。
だから日向、どうか待っていて、オレのこと。
絶対見つけ出してみせるから。
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作者名:ましろ | 作成日時:2015年10月13日 16時