酷い自分 ページ15
オレと朱里が一緒にいることがなくなって3ヶ月。
季節は冬の入り口に差し掛かっていた。
なのにオレと日向の距離は一向に縮まらず、相変わらず日向はオレのことを上手にかわし続けている。
こんなに足繁く保健室通いしてんのにな。
毎日好きって言ってハグしてんのに。
能天気で少々のことじゃ凹まないオレでも、流石にそろそろ心が折れそうだった。
いつものごとく適当な理由を作って保健室を訪れた、そんなある日。
「日向、お腹がい─おわっ」
最後まで言い終わらない内に、日向がオレの腕を引っ張って一番奥のベッドへ座らせると、カーテンを思い切り閉める。
「ちょ、日向どうしたの?とうとうその気になってくれたの?」
「朱里ちゃんのこと何か聞いてない?」
日向はオレの冗談を思い切り無視して訊く。
「え?朱里?朱里がどうかしたの?」
「今、入院してるの」
「は?」
オレは驚いて日向を見た。
入院てどういうことだよ。
「な、なんの病気?」
嫌だ。
病気とか嫌だ。
嫌だよ。
何だよそれ。
オレの想像以上の動揺に日向が、
「大丈夫。命に別状はないから」
とオレの手をぎゅっと握りしめてくれた。
「原因は父親からの暴力。転んで頭を打って救急車で運ばれたんだって」
ニカちゃん、何か相談受けてたりしなかった?
日向の問いにオレは首を横に振った。
「なにも」
そう言えば朱里がオレに何かを愚痴ったり、泣き言を言ったりすることって、1年以上一緒にいて1度もない。
「そっか。でも北山先生が色々と相談に乗ってたみたいだから、きっと大丈夫」
北山が?
意外だった。
チャラみつ、俺には何も教えてくれなかった。
朱里のことなのに、オレにも隠してた?
って、日向に夢中になって朱里をほったらかしてたオレが言えた義理じゃないよな。
「日向、オレどうしたらいい?」
「できることは何でも。それはニカちゃんだけじゃなくて、教師のあたし達も同じだけど」
朱里はずっと苦しんで悩んでたんだろうか。
もしかして一番朱里が苦しかった時に、オレは朱里を放り出したのかもしれない。
北山がいてくれて良かったって心底思った。
「くそっ」
オレの目から涙が零れ落ちる。
日向の前で泣くなんてかっこ悪すぎて情けなかったけれど我慢できなかった。
日向は黙ってオレが落ち着くまで隣にいてくれた。
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作者名:ましろ | 作成日時:2015年10月13日 16時