君が愛を教えてくれた (ページ12)

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追試合格ページ12

夏休みの補講最終日。

全出席で追試も全てやり終えたオレは、使いすぎて朦朧としている頭で採点している北山を眺めていた。

「お前が全出席とか、保健室の誘惑以外考えられねーよな」

「保健室の誘惑ってAVタイトルみたいだね」

「タイトルだけであって欲しいけどな」

補講期間中、オレは昼飯をずっと日向と一緒に食べていた。

「日向が保健室で食べてもいいよって言ってくれたんだもん」

「だもん、じゃねーよ、バカ」

北山が複雑そうな表情でオレを見た。

オレは説教されるような気がして目を逸らした。

「マジになるなよ」

ほら、言われると思った。

北山のこういう勘が異様にいいところが本当に嫌だ。

「チャラみつも狙ってんの？でもオレが２歩も２歩もリードだかんね」

オレは核心に触れて欲しくなくて努めて明るく茶化した。

でも北山は笑ってくれなかった。

「狙ってねーよ。なぁニカ、朱里は元気？」

「元気だと思うよ、最近会ってないけど」

北山が大きく溜息をついた。

「どうしてこう難しい難しい方へ行くかな、わざわざ。青春とは言え」

「え？」

けれど北山はそれ以上は何も言わなかった。

採点が全部終わると、

「追試は全部合格。よく頑張ったな」

頭をぽんっと撫でてくれた。

男にまで頭ぽんっするとか、やっぱチャラみつだー！

ちょっとドキドキした。

「ねーチャラみつ」

「ん？」

「オレの補講が終われば仕事終わりでしょ。一緒に遊んでよ、これから」

「は？」

北山が呆れたようにオレを見る。

「何かすぐ家帰りたくなくてさ。誰もいないし」

「それ、オレに言う台詞？」

「日向に言えばいいの？」

「それはダメ」

速攻で否定される。

北山はしばらく迷っている風だったが、

「分かった、車のところで待ってて」

やっぱり優しい北山先生だった。