【刀剣乱舞】ﾁｬｱと鳴く鶯に成ったと思ったら女だったんですけど【勘違い】 (ページ11)

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九話ページ11

審神者視点

俺は平凡な審神者だ。

少し霊力量が多いだけの至って普通の審神者。給料に釣られてこの仕事を始めた。

そんな平凡な俺にも、異常な事は起きるらしい。

第一部隊が厚樫山から早く帰って来たと思ったら、血塗れの鶯丸を抱えているのを見て俺は血の気が引いた。

状況にそぐわず余りの美しさに息を呑んだがそれは俺は悪くないと思う。

然もそれがただの鶯丸では無く、女体化した鶯丸だというのだから鶴丸ではないが大層驚いた。

話を聞けば、厚樫山で血の海の中に倒れ伏しているのを発見したらしい。

兎に角、一度近づいて容態を見ようと思って手入れ部屋の準備をしてから出迎えに行ったのだが…………

俺を見た鶯丸が急に暴れて逃げ出そうとし、何かに怯える様子で話したに二度目の気絶。

そして鶯丸と話した奴の話を聞く限り、どうやら『審神者』に怯えているらしい。

因みに、今、鶯丸は俺が気絶している間に手入れをし、空き部屋で布団に寝かせている。念のため刀は没収した状態で。

「………これはもう、決定だな。」

俺は大広間の上座に座りながら、他の刀剣男子に聞こえるようにそう云う。

血塗れで女体の鶯丸の話はあっと言う間に本丸内に広がったので、説明も兼ねて全員を広間に集めた。

「決定、とはどういう事だ？」

鶯丸の同郷の刀、大包平が尋ねる。

因みに、この本丸に鶯丸は居ない。

そしてやっと鶯丸と会えたと思えば訳ありで傷だらけ。大包平は大層ご立腹だ。

「おそらく、鶯丸が居たのはブラック本丸だろう。」

ざわり、と広間が騒がしくなる。

やはりそうかという反応が主だが。

「手入れしても消えない痣に、首元の赤い点………判るだけでも暴力と夜伽。

恐らくは厚樫山に単騎で出陣させられていたんだろうし、過剰出陣もだな。

そしてなにより、怯えた様にしている鶯丸は表情だけは変わらなかったらしい。」

「それはそれは………何とも恐れ知らずの人間だな」

ほけほけと笑って言う三日月の目は笑っていなかったし、声が冷たすぎて怖かった。

だが、それよりも。

俺は言いようのない怒りが湧いてくる。

刀剣の付喪神を、神様を、あたかも物ように扱う奴の考えが知りたい。

だがその怒りを抑え、俺は言う。

「この鶯丸は俺の本丸で保護する。世話役は平野と大包平に頼みたい」

「承知した！」

「精一杯務めさせていただきます！」

その答えに俺は頷き、解散の旨を伝え大広間を去った。