【文スト】転生以下略したら太宰治の姉でした。

悩みが二つ ページ4

A視点




ぐりぐりと私の胸に頭を押し付けて幸せそうに笑う弟の将来を案じながら、そっと森さんに助けを求める視線を送る。

ここは森さんの診療所。森さんは常に小説通りマフィアのトップに立ったことに悩んでいる。




そんな町医者姿の森さんは溜息を一つ吐くと立ち上がり、私から太宰さんをひっぺがしてくれた。




「ちょっと森さん！なにするの！」



「太宰君、A君が困ってるじゃないか。やめなさい。」



「森さん！姉さんの事を呼び捨てで呼ばないでよ！」



『治、ちゃんと森さんの言う事聞いて。』



「……はぁーい……」




ぶすっとして不貞腐れた様に返事をする弟に小さな溜息を吐く。

あと五分もしたらけろっとした顔で同じことをしてくるんだろうなぁ……頭痛くなってきた。




そう考えて、手元の本に視線を落とす。




地頭が良くなった私は本を速読できるのだ。それはもうめっちゃ早く。認識能力からハイスペックになるとは流石太宰の血筋は凄い。




因みに今読んでるのは伝記だ。漫画とかが良かったが森さんの診療所にそんなもんはなかった。

なので、有る中で一番面白そうな奴を読んでいる。まぁ面白くないけど。

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