冷静野郎。 ページ3
「パンツとパンツがね」
「……」
「ちょ待って？怖いからね視線！」
「だいたい分かったわ。くっだらねぇことだってのは」
「あ。くだらない、のね？ならいいわ別に」
「……そういうのってさ。女のが色々あるんじゃねーの？デリケート洗いがどうとか」
「ん？」
おかしな気遣いを受けたぞ？
女のが下着の洗い方には色々あるってか？？
前の女はそうだったんだよナァ的なやつか？？？
「……」
「……んだよ」
「……べっつにぃー。私のは大したアレじゃないんでね、わざわざソレだけ別洗いとか手洗いとか致しませんけどもね、私のはね」
「……」
あ。怖い。
本気でご機嫌ワルワルしい感じになりつつある翔の様子に、それでも私はどこまで行けるかなんて探りを入れたくなる。
早速メンドクサイ女になっちゃう？
でもさ、さっきの御発言は不要じゃね？
「……ごちそーさま」
あら。戦意喪失？
私が頑張って視線を逸らさずにいたのに、翔はもう立ち上がって食器を片付けてしまう。
……なにさなにさ。なんなのさ！
俺から離れるなって言ったじゃん。
おまえの大事な妹貰うわって、バカ兄貴にご挨拶したじゃん。
それ、数日前のお話よね？あら違った？全て私の妄想でした、これ？
「……はぁ〜……マジでなんなの」
「だっ、で、だ、ばー！！」
「あほか。泣くな。っつーか、こんくらいで泣くなら、ふっかけてくんな」
冷たい。けど……あったかい。
居なくなったと思った翔は、すぐそこにいた。
何がそんなに悲しいのやら、そもそもキッカケがおぱんつとか私バカじゃないの？と分かってはいるんだけど……なんか、止まらなかった。
「あのな。俺にも過去に女の1人2人居たの」
「う！うぅぅっ……！」
「いや。2人どころじゃねぇけど」
「うぅぅ！！」
「いってーな！おまえだって、っつーかおまえこそこれに関しては何も言えねぇだろうが」
「……」
「ハァ……もういいから。ちょっとここ座れ」
翔は私の肩を押して、ソファに強制的に座らせた。
「で。もうそこに論点ないのは分かってるけど、別に元カノの洗濯の仕方でどうとか言ったわけじゃねぇぞ。俺の家族には女が2人も居るの。知ってるだろ」
冷静野郎が気に入らない。
そりゃ事実を述べているんだからごもっともだけど！でも過去のことまでハッキリ言わなくたって……
「あーあーもう。ブッサイクだなー」
そして何も言えない私の頬をむぎゅっと掌で挟むと、翔は噴き出した。
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作者名：みつな
| 作者ホームページ：
作成日時：2017年5月15日 0時
