19 ページ19
「……今」
「え……」
「私の幸せは…今だよ
……
私ね、この場所にいる時間がとっても幸せなの」
「……そっか
まぁ、でもわかるよ!その気持ち!」
と言って少し笑って
「俺もまた来よう」
と言った
この前よりもずいぶん日が短くなってきて
もう夕暮れ始めていた
「うん。私も
あ、ひとつだけ聞いてもいい?」
ケントくんは
「もちろん!!」
って嬉しそうにかえしてくれる
「好きな食べ物はなんですか??」
「……んっ?」ってきょとんとした顔をする
「ふふふっ ごめんごめん
夜ご飯何にしようか悩んじゃってて…助けて」
ってちょっとふざけて言うと
「あははははっ!
んーー。そうだな、俺は餃子!!
うちの母親が作ってくれるやつ!!」
また、小学生みたいな事言うんだから…
感情が忙しいよ
「ありがとう
よーし、今夜は餃子にしようっと」
そしてエレベーターに向かう
「あ、……俺も下まで一緒に行ってもいい?
」
「……うん。」
エレベーターには2人だけだった
階数ボタンの前に立つケントくん
少し斜め後ろに立って
ケントくんを見上げながら階数表示をみつめた
何も話さない2人
密室になってフワッて香ってきた
ケントくんの香り…
黒に黄色の柄の入ったコート
やっぱりカッコイイなぁって心の中で呟いたら
ドキドキが止まらなくなって来てしまった
階数表示が
.....8 ...7 ... 6
名残惜しさと
....5
せつなさと
.....4
エレベーターの動きとで
胸が締め付けられて
.....3
下を向いて
ぎゅっと目をつむってしまった……
13人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:m | 作成日時:2017年10月21日 17時