きみとぼくと【∞／短編集】6

ありがとう【紫】 ページ27

笑った顔なのか、泣きそうな顔なのか



笑い声なのか、涙をこらえる声なのか




自分で聞いても分からなくなった。





俺だけでテレビに呼ばれるようになって



『大阪を捨てた男』『ジャニーズじゃない、芸人』



そんなイジリが定着して





俺は自分が何なのか、分からなくなってしまった。




アイドル？芸人？タレント？




唯一俺を導くのは、『関ジャニ∞の』という肩書き。



これを失ったら



俺には何も残らない





ただでさえ、何のために頑張っているのか見失いかけているのに



これを失ったら……





怖くて、悲しくて




それを振り払うように声を張り上げて




俺はジャニーズやと主張する。








ある日、楽屋で台本を読んでいると



横が無言で隣に座り、強引に台本を奪う。




紫「何すんねん。」


黒「ちょっとすばるのところ行ってくれへん？


俺がかわりに読んどくから。」



紫「え、すばるなんかしたん？」



黒「ええから行ってこい。」


そのまま奪った台本を黙読し始めた横に苛立ちながらも席を立つ。



すばるもなんかあるんやったら自分から来いや…なんてブツクサ言いながらも


俺はすばるに弱いから、より広いソファで寛いでいるすばるのところへ向かう。



紫「なんやすばる。」


赤「ヒナ、ここ座れ。」


とりあえず腰を下ろすと、なぜか後ろからそっとブランケットを包まれる。


振り返ると亮だった。



そのまますばるに押し倒されるように横になる。



赤「始まるまで寝とけ。」


紫「なんでや、元気やで？俺」



赤「ええから！」



有無を言わせないような語気に負けて、とりあえず目を閉じる。



青「…ヒナちゃん、いつもありがとうな。


ヒナちゃんのおかげで俺らここまで来られた。」


橙「怖がらんといてください。


俺らはずっと、ずっと信ちゃんの一番の味方やから。


絶対に一緒にいるから。」



大倉らしき大きな手が俺の頭をそっと撫でて、あやしてくれる。





言葉では決して伝えられないすばるとヨコ。


素直に言葉で伝えてくれるヤスとマル。


さりげない行動が優しさで溢れている亮と大倉。







全部お見通しやったんやな。






いつだって、どんな時だって






俺と共に人生を歩んできたメンバーがいれば




俺はまた、胸を張って仕事できる。




俺の全てが、ここにある。









ブランケットに隠れて涙を流す。




そしてまた、俺は前を向く。

おんなじおもい【橙×緑】→←先の見えない、音【緑×橙青黄】◎

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