きみとぼくと【∞／短編集】6

無意識の攻防戦【橙×緑】 ページ17

俺は、彼がキライ。



橙「俺がハジメテやなくても全然気にせんよ。



俺はハジメテやけどな？




むしろおれのこといじめてほしい♡」



裏でタラシって軽蔑されてる俺を好きになって



橙「たつ、大好きやで？」



恥ずかしげもなく愛の言葉を囁いてくる。



橙「引っつかんで、もうええから。」


かと思えば突き放してきたり、冷たくなったり。





今まで出会ったオトコの中で、


タラシが好きな物好きなんていなかったから




緑「や、恥ずかしい、」




純情っぽく装ってみても




橙「嘘やろ？経験豊富なんやから



もっと大胆になって。」




彼はビクともしなくて。




橙「はぁ、今までこうやって腰振ってきたん？


えっろ、」



むしろ彼の方から過去の恋愛を掘り返してくる。






自分を全て受け止めてくれる。




そう思えば確かに幸せなのかもしれないけど





こんな風にされることも



ヤキモチ妬いちゃだめなのも


重くなったら離れるから、なんて言われることも




全部ハジメテで、どうしていいかわからへん。




彼は経験豊富なんやから分かるやろ？って言ってくるから、余計につらい。




距離感がまったくつかめなくて



いいように転がされて




それでも、彼を愛してしまう俺の負けなのか。






甘い飴と鞭が



心と体を溶かして、整えて





彼仕様の俺になりたいと思うのは、




やっぱり重いのかな。





橙「なぁに暗くなっとんの。



そういうとこあかんよ？」




誰のせいだと思ってるんだこいつ。





こっそりとため息をついて




彼の隣に忍びこめば




俺の体に伸びてくる手。





好きなのはカラダだけなんやないの？




そう言いかけて、慌てて口をつぐむ。




ここで重たい発言して、嫌われたくはないから。





わざとそっけないフリをして




あっちをその気にさせる。





彼が俺を好きなようにするなら




俺だって転がしたい。





そんな想いが芽生えたのも、ハジメテ。






橙「俺に奪えるハジメテなんてないから


なんか気が楽だわ。」




気づいてないなんていい気味。





気づいた頃には、離れられないようにしたるから。





だから今日も



勝って負けての攻防戦を始めるんだ。

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