嫌いな幼馴染の彼女役をすることになった。(4) (ページ20)

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気付けば私の両手もさとみの両腕も模擬店で買った料理で埋まり、持ち帰り用の袋に入ったものもかけられている。

「どうしよう･･･何から食べよう･･･冷めちゃうし、それにこれ全部食べたらお腹が･･･」

「時間あるから慌てんな。全部まわったならどっか座るか？」

「うん」

さとみの提案に頷いてついて行く。

落ち着いて食べられるように食堂に向かう。
メニューの販売は行っていないが席だけは一般客にも開放されていた。

私たちは食堂の端の席をとって二人で買ったものを並べる。

「お前の好きなもん食え。余ったら俺が食べるから」

「いいの？」

「だから一人前しか買ってないだろ」

そっか･･･焼きそば2つ買わなかったのってこういうこと･･･
私がこうやってなんでも買いたがるって見越して、余り物を食べる気でいたんだ。

私はお言葉に甘えて好きな物に箸をのばしはじめた。

「さとみ、これ美味しい！食べる？」

「うまいならお前が食えよ」

「お金出してもらったし、余り物ばっかじゃ不公平だよ。ほら、あーん」

近づけるとしぶしぶと言った感じで口を開けた。

「･･･うまい」

「でしょ！？やっぱり美味しいものは分け合った方がいいよ」

私は浮かれたまま、また一口頬張った。

せっかく美味しいんだからその美味しさは共有したいよね。

「タピオカ飲まねぇの？」

「飲む！」

さとみに言われて箸を置いた。

「こんな黒い粒々ほんとにうまいの？」

「美味しいよ！さとみも飲む？」

私が差し出すと今度はしぶしぶというより、不安げにストローに口付けた。

「ん･･･なんか、不思議。悪くはねぇな」

「じゃ、これも食べてみて」

「俺はもういいからお前が食えよ」

「だって･･･」

「･･･残った分は食べるから」

そう言ってさとみはそっぽを向いた。
そのおかげで晒された耳はほんのり赤くなっている。

何照れてるんだろ？

私は不思議に思いながらも言われた通り箸を進めた。