17 ページ19
「あの、さっきはごめん。俺が上手くボール取れなくて・・・」
「全然平気だよ」
律儀にもボールの件を再び謝ってくれた彼に首を振る。練習なんだからミスなんて当たり前だよね。
彼のミスより私のバランス感覚のなさの方が悪い。
花壇から落ちかけた件もあるし、体幹トレーニングとかした方が良いのかも・・・
「そういえば、男子バスケ部人気なんだね」
「え?」
「あ、通った時に女子の声たくさんしたから、マネージャーいないって言ってたし、応援しに来てる人がいるのかなって・・・」
すると彼は思い返してみればと言いたげに「あぁ・・・」と曖昧な返事をこぼした。
あれだけ大きな声がしたのに、それだけ練習に夢中だったのだろうか。
「澤口さんも見に来る?」
「へ?あ、私?」
突然の提案に思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。
バスケの知識なんてないし、行ったって邪魔になりそうだけど・・・
「見に来てる人バスケにほとんど興味ないよ。来てみない?」
「あ、でも・・・園芸部があるから・・・」
「当番制とかじゃないの?」
その言葉に私は苦笑いをこぼした。
「ほとんど幽霊部員なの。前はよく出てくれる先輩もいたんだけど、卒業しちゃって・・・今は私一人だから」
「・・・じゃあ、今は用務員さんと二人で作業してるの?」
「うん、そう。はるっ、あ、えと、用務員さん一人に任せられないし、私も植物の世話は好きだから」
「・・・そっか」
百瀬くんの声はなぜか落ち込んでいるみたい。
疲れてるのかな?
「下の名前で呼びあってるの?」
「あぁ、うん。悠さんは前任の方のお孫さんで、分かりづらいから下の名前にしようって・・・」
「仲良さそうだったね」
「そ、そうかな?」
百瀬くんの前で悠さんと話したことと言えば業務連絡のようなものだけ。下の名前で呼びあっているのがそういうイメージにさせたのか。
百瀬くんの暗くなってしまった声に不安を煽られる。何か気に障ることでもしたかな。
「・・・えっと・・・部活疲れた?」
「・・・うん」
沈黙が続く。
こういうときどう声をかけたらいいか分からなくて、ありきたりに尋ねたが、むしろ逆効果だったような気がする。
なんだか気まずいな・・・はやく家に着かないかな・・・
250人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「すとぷり」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まるたちばな(プロフ) - らるこさん» そうですね。明ちゃんにとっても主人公は大切なお友達であるので、守ってあげたいんですね。これからも何回かモヤモヤ出てくると思いますが、よろしくお願いします笑視線についてはすぐ明らかになります (2021年1月31日 12時) (レス) id: de1186ee03 (このIDを非表示/違反報告)
らるこ(プロフ) - 主人公の友達、相手を思っての行動なんでしょうけど、これまでの桃くんと主人公のやり取りを知ってる上で見るとモヤモヤしますね……。視線のことも引っかかりますね。ううん、続きが気になる! (2021年1月31日 0時) (レス) id: bfd6a96e81 (このIDを非表示/違反報告)
緋彩(プロフ) - まるたちばなさん» 推しの幸せはファンの幸せでもありますからね。悲しませたくないな... (2021年1月30日 9時) (レス) id: d35532515e (このIDを非表示/違反報告)
まるたちばな(プロフ) - 緋彩さん» いつかそういう日が来たら楽しそうですね。彼らが活動だけでも楽しいならそれはそれで嬉しいですし、幸せでいてくれたらファンとして最高です^^* (2021年1月30日 0時) (レス) id: de1186ee03 (このIDを非表示/違反報告)
緋彩(プロフ) - まるたちばなさん» 照れながら話してるの見てみたいですよね!コメ欄が「可愛い!」で埋め尽されるのが目に見えますwww (2021年1月29日 9時) (レス) id: d35532515e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まるたちばな | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/marutatiba1/
作成日時:2021年1月9日 12時