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わけが分からないまま、テープを巻き終えた百瀬くんは保健室を出ていって、私も我に返って温室に戻ってきた。
「真菜ちゃん、おかえり。熱なかった?」
花壇の下でしゃがんでいた悠さんが立ち上がった。
彼にしっかりと頷く。
そういえば、百瀬くん私のこと下の名前で呼んだ気がするな。
求婚されたときも、いつもなんだか私の名前を言いかけて言い直してた。
「真菜ちゃん?大丈夫?真菜ちゃん?」
気づくと目の前で悠さんが手を振っていた。
私はすぐさま頭を振る。
「大丈夫です。何をすればいいですか?」
「・・・あの話をしようか」
「話?」
「校舎裏の花壇の整備を頼まれたんだ。人が寄り付かないから放置されてたらしいんだけど、今年から校舎裏を駐車場として使うから来客に見栄えするようにって」
全然知らなかった。裏庭に花壇があることすらも。
いつも中庭と校門前のプランターと温室しかやってこなかったから。
「俺が適当にいくつかの苗を発注しようと思うんだけど、一種類くらいは部活の人に決めてもらおうかなって。その方が部活動らしいでしょ?でも、真菜ちゃんしかいなくてね・・・」
「あ・・・」
「ふふっ、まぁ、真菜ちゃんの好きな花でもいいよ。何植えたい?」
校舎裏に植える花・・・
来た人にも楽しんでもらえるものがいいよね・・・
「あの、クチナシは植えられますか?」
「クチナシ・・・いいね。来た人も香りが楽しめるし、校舎裏にも適してる。真菜ちゃん植物に詳しいね?」
「悠さん程ではないですけど、田舎のおばあちゃんがいろいろ教えてくれて、七森さんにも教えてもらいました」
「そっか・・・真菜ちゃんが植物を好きでいてくれたらこの子たちも喜ぶよ。大切にお世話されてすっごく幸せだと思う」
そう言って悠さんはそばにあるハナミズキの枝を撫でた。
最近つぼみを付け4月の下旬には少しずつ開花し始めるだろう。可愛らしい白とピンクの花を私も楽しみにしている。
落ち込んでいても植物の世話をしていると気にならなくなるし、七森さんからもらった知識やお話はすごく楽しくて勉強になった。
私にとってもこの場所が大好きだ。
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まるたちばな(プロフ) - らるこさん» そうですね。明ちゃんにとっても主人公は大切なお友達であるので、守ってあげたいんですね。これからも何回かモヤモヤ出てくると思いますが、よろしくお願いします笑視線についてはすぐ明らかになります (2021年1月31日 12時) (レス) id: de1186ee03 (このIDを非表示/違反報告)
らるこ(プロフ) - 主人公の友達、相手を思っての行動なんでしょうけど、これまでの桃くんと主人公のやり取りを知ってる上で見るとモヤモヤしますね……。視線のことも引っかかりますね。ううん、続きが気になる! (2021年1月31日 0時) (レス) id: bfd6a96e81 (このIDを非表示/違反報告)
緋彩(プロフ) - まるたちばなさん» 推しの幸せはファンの幸せでもありますからね。悲しませたくないな... (2021年1月30日 9時) (レス) id: d35532515e (このIDを非表示/違反報告)
まるたちばな(プロフ) - 緋彩さん» いつかそういう日が来たら楽しそうですね。彼らが活動だけでも楽しいならそれはそれで嬉しいですし、幸せでいてくれたらファンとして最高です^^* (2021年1月30日 0時) (レス) id: de1186ee03 (このIDを非表示/違反報告)
緋彩(プロフ) - まるたちばなさん» 照れながら話してるの見てみたいですよね!コメ欄が「可愛い!」で埋め尽されるのが目に見えますwww (2021年1月29日 9時) (レス) id: d35532515e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まるたちばな | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/marutatiba1/
作成日時:2021年1月9日 12時