姉の婚約者.Re (ページ8)

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あまり長風呂ものぼせるし、心配をかけるかもしれないので、いい頃合にお風呂を出る。

服を着て、私はちゃんと髪を乾かしてリビングに戻ると、智実さんはソファで愛猫のひなちゃんを撫でながらくつろいでいた。

私に気付いたのか智実さんより早く、ひなちゃんがピョンッと智実さんの膝を下りて擦り寄ってきた。

「おかえり、こっちおいで」

智実さんに手招かれ、私もひなちゃんを抱っこしてソファに向かう。

ひなちゃんは智実さんが元々飼っていた猫で、猫にしては人懐っこくて寂しがり屋で、すぐに私にも懐いてくれた。
オス猫はメス猫より懐きやすいとも聞いたことがあるし、それも理由の一つかもしれない。

大人しく私の腕に収まるひなちゃんと共に智実さんの横に腰を下ろす。

「ひなはすぐ犬みたいに誰にでもしっぽ振るんだよな。俺の友達が家に来る度に擦り寄ってるし･･･」

ちょっと不機嫌そうに言う智実さんに反抗するようにひなちゃんは低く鳴いた。可愛らしい反抗に私も思わず頬が緩む。顎の下辺りを撫でてあげると機嫌を戻したようにゴロゴロと喉を鳴らした。

私はペットを飼ったことがないから特別この子が可愛く見える。ちっちゃくてフワフワで、目がくりくりで足が短いのもこの子のチャームポイントだ。

皆が犬猫を飼いたいと言う気持ちがとってもよく分かる。

しばらくひなちゃんに気を取られていると、急に抱き寄せられた。

「わっ、」

驚いた声と共に大袈裟に肩を揺らす私にびっくりしたのか、腕の中にいたひなちゃんは逃げ出した。

「さ、智実、さん･･･？」

恥ずかしくて逃げようとする私を黙って引き寄せる智実さん。

「ひぅｯ･･･」

智実さんの鼻先が首元を伝ってくすぐったい。髪の匂いを嗅いでいるのかスンスンと鼻を鳴らす音に肩を震わせる。

何か智実さんを不安にさせるようなことをしてしまったか？

とりあえず離れてもらわないと話が聞けない。
やめてと智実さんの肩を押すも、智実さんは気にすることなく私に体重をかけてきて、更には私の指をパクッと口に入れてしまった。