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あれから、朝食や家事を済ませて準備をすると、予定通りドレス決めへと向かった。
私たちが式をあげるのはごくごく普通の式場。ドレスもその系列の貸衣装屋さんにお願いする。
母にはお金を出すからウェディングドレスだけでも作ったらどうかと言われたが、さすがに要らないと断った。
その代わりと言ってはなんだが、私の両親は神前式を本当は希望していたらしいので、前撮りを神社で行うことにした。
これは智実さんの提案で、お金がかかるから気にしないでほしいと言ったのだが、「着物姿も見たいから」と言われたら断ることもできなかった。
「百瀬様、お待ちしておりました」
衣装屋さんに入るとかっこよくパンツスーツを着こなした女性の店員さんが出迎えてくれる。
案内されたのはフロア一帯に真っ白なドレスが並ぶ部屋。
「美詞様のサイズはこちらになります」
紹介されて見てみるも数が多すぎて何から見ていいのやら。キョロキョロと眺めるばかりの私に智実さんが助け舟を出してくれた。
「美詞は体のラインがハッキリするのより、こういうのがいい思うな」
そう言って智実さんが手を伸ばしたのはTheドレスといったデザイン。オフショルで腰の大きなリボンがとても女の子らしくて可愛い。
「そちらは新作でして、すでに何件か予約が入っている人気の物なんですよ。ご試着なさいますか?」
「は、はい」
頷くと試着室に通される。こんなちゃんとしたドレスなんて着たことがないから本当に緊張する。
何とか着替えて外に出ると智実さんが並んでいるドレスを眺めながら待っていた。
「あの・・・どうですか?変じゃないですか?」
声をかけると驚いたようにこちらを振り返る。
「全然、むしろすごく似合ってるよ。かわいい」
そう言ってはにかむ智実さんに照れて俯いた。
「あ、写真撮ろうか?」
「写真?」
「ドレスを試着するときは何枚か写真を撮っておいて、後で見比べられるようにするんだって」
智実さんはスマホを構えると正面、後ろ、横から写真を撮ってくれた。
その写真を見てみるが確かにドレスは可愛いが、似合っているのかイマイチ分からない。
そんな私を察してか智実さんは他のも試着してごらんと手を伸ばした。
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作者名:まるたちばな | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/marutatiba1/
作成日時:2020年12月25日 20時